大仙(市)(読み)だいせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大仙(市)」の意味・わかりやすい解説

大仙(市)
だいせん

秋田県中央部に位置する市。2005年(平成17)大曲市(おおまがりし)、仙北(せんぼく)郡神岡町(かみおかまち)、西仙北町、中仙町(なかせんまち)、協和町(きょうわまち)、仙北町、太田町(おおたまち)、南外村(なんがいむら)が合併して成立。北部から西部にかけて出羽(でわ)山地、東部に奥羽山脈がそれぞれ縦走し、その間は横手本盆地となっている。支流の玉川、楢岡(ならおか)川などを合流しながら、雄物川(おものがわ)が盆地を北流している。中央部をJR奥羽本線が走り、田沢湖線を分岐する。1997年には奥羽本線と田沢湖線を利用した秋田新幹線が開業した。奥羽本線に沿うように国道13号が走り、46号、105号、341号の各国道と接続している。1991年に秋田自動車道が開通、大曲、西仙北スマート、協和の3インターチェンジが設置されている。県内でも有数の米どころであり、耕地整理も進んでいる。野菜や果樹栽培、養豚などの畜産も行われている。また、山間地では林業が盛んで、木材加工、醸造業などもみられる。

 江戸時代は佐竹氏秋田藩領。佐竹氏は要所に一族や大身を配した。大曲地区は羽州街道の宿で、本陣が置かれ、仙北地方の商業の中心地となっている。また同地区の角間川は雄物川舟運の要津としてにぎわった。仙北地区には、平安初期に払田柵(ほったのさく)が築かれた。これは、東北地方最大の官衙(かんが)遺跡として国の史跡となっている。神岡地区の神宮寺と西仙北地区の刈和野(かりわの)は羽州街道の宿駅で、ともに雄物川舟運の物資集散地として栄えた。西仙北地区には強首(こわくび)温泉がある。中仙地区の長野も雄物川舟運の陸揚げ場のあった所で、秋田城下からの物資を角館(かくのだて)方面へ小舟で積み換えて運んでいた。杜仲葉(とちゅうば)茶を特産する。太田地区にある真昼(まひる)山地は、真木真昼県立自然公園となっている。協和地区にあった荒川鉱山は秋田藩直営の鉱山であり、銀、銅などを産出したが、1940年に閉山した。協和温泉、能楽堂を備えた「まほろば唐松公園」がある。南外地区では楢岡焼、六兵衛焼、又五郎こけしが特産品として生産される。

 水神社(すいじんじゃ)にある青銅古鏡「線刻千手観音(せんじゅかんのん)等鏡像」は国宝。飛騨匠(ひだたくみ)の手になる古四王神社(こしおうじんじゃ)本殿、浄連寺の当麻曼荼羅(たいままんだら)図は国の重要文化財。仙北地区の豪農であった旧池田氏庭園は国の名勝。旧暦1月15日に行われる「刈和野の大綱引」は国の重要無形民俗文化財。そのほか文化施設として、秋田県立農業科学館、秋田県埋蔵文化財センター、屋内多目的施設「嶽ドーム」などがある。面積866.79平方キロメートル、人口7万7657(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android