夜食テロ(読み)やしょくてろ

知恵蔵 「夜食テロ」の解説

夜食テロ

深夜にブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などへ食欲空腹感を刺激する食べ物の画像を投稿すること。就寝前の閲覧者の食に関する好奇心を必要以上にかき立てたり、飢餓感をあおったりする効果から、「夜食テロ」という大げさな表現が用いられ、インターネット上の俗語として認知されている。このことを踏まえて、投稿された画像だけでなく、深夜の時間帯に放映されるテレビ番組で、食が魅力的に描かれているものをSNS上で「夜食テロ」とすることもある。
「夜食テロ」の代表的なテレビ番組としては、MBSが制作したドラマ「深夜食堂」が挙げられる。2006年に「ビッグコミックオリジナル増刊」(小学館)、07年に「ビッグコミックオリジナル」(同)で連載された安倍夜郎によるマンガが原作小林薫が演じるマスターが腕を振るう小さな食堂「めしや」で、客のリクエストにこたえて作るメニューと客の人間模様をテーマに描いている。第1部は09年10月にスタートし、MBSでは午前0時29分から、TBSでは同0時34分から放送された。11年10月から第2部、14年10月から第3部と続いている。松岡錠司監督により同名で映画化され、15年1月31日に公開された。主演はテレビ版と同じ小林。
このほか、テレビ東京が制作し、2012年1月から深夜の時間帯で放送された松重豊主演の「孤独のグルメ」も食と深夜放送という点で、「夜食テロ」の一環とされる。原作は、 月刊「PANJA」(扶桑社)で1994年から96年まで連載された、久住昌之(原作)と谷口ジロー(作画)による同名のマンガ。主人公の中年男性、井之頭五郎が、ふらりと入った庶民的な店でおいしいものと出合う様子を描いている。メニューを選んだり味わったりする時の心理描写が見どころであり、テレビ版もその雰囲気を大切にしている。
番組はシーズン1が2012年1月から放送され、料理の映像や松重がおいしそうに食事をするシーンが話題となった。松重は番組収録日の前日から食事を制限して空腹の状態で本番に備えるなど、食に対する貪欲な思いを演技に生かしている。シーズン2は同年10月、シーズン3は13年7月、シーズン4は14年7月から放送される人気番組となっている。

(若林朋子 ライター/2015年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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