多足類
たそくるい
陸上生活に適応した節足動物のうちで、頭に1対の触角をもつ5綱の動物群のうち、昆虫綱を除いたほかの4綱(少脚綱(しょうきゃくこう)、倍脚綱、唇脚綱(しんきゃくこう)、結合綱)をまとめて便宜的によぶ総称。これらの動物は頭部と胴部が区別でき、胴は長く、多くの有肢体節からなり、外見上互いによく似ており、さらに単眼、気管呼吸、開放循環系、マルピーギ管など共通の特徴も多い。外骨格はキチン質か石灰質。一般に雌雄異体で、交尾または精包によって受精された卵を産む。変態は多くは増節変態をするが、唇脚類には微変態だけ行うものもある。しかし、これらは昆虫類と共通する特徴でもあり、分類学的に多足類という名称は意義が薄れている。むしろ少脚類と倍脚類をまとめて双顎類(そうがくるい)とし、唇脚類、結合類、昆虫類をまとめて三顎類(さんがくるい)とする説もある。多足類の4綱のうち唇脚類だけが口器に毒づめをもち、完全な肉食動物であり、ほかは腐食性である。
[篠原圭三郎]
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多足類
たそくるい
Myriapoda; myriapod
節足動物門のヤスデ類,コムカデ類,ヤスデモドキ類,ムカデ類を一括した名称で,昆虫類に対応して使われる。前3類は生殖孔が第3ないし第4体節に開口していることから前性類 Progoneataとされるのに対し,ムカデ類と昆虫類は生殖孔が体の後方にあるため後性類 Opisthogoneataとされ,多足類というまとめ方は系統分類学的なものではなく,あくまでも便宜的なものであるとされてきたが,最近では多足上綱として扱われている。
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多足類【たそくるい】
節足動物のうちムカデ・ヤスデ・エダヒゲムシ・コムカデ類の総称。分類学的には多足上綱をなす。体は多くの体節からなり,頭部に1対の触角があり,多数の歩肢をもつ。気管で呼吸し,マルピーギ管で排出する。いずれも土壌動物で,生態系の物質循環において重要な働きをしている。
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たそく‐るい【多足類】
〘名〙 節足動物のうちで多数の歩脚をもつ種類の総称。動物分類上のヤスデ綱(倍脚類)やムカデ綱(唇脚類)などが含まれる。〔生物学語彙(1884)〕
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デジタル大辞泉
「多足類」の意味・読み・例文・類語
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たそくるい【多足類 myriapoda】
節足動物のうち,ムカデ,ゲジ,ヤスデ,ヤスデモドキ,コムカデなどの4群を総称する用語。学術用語ではないが,体形的に似たグループをまとめており,便宜的に用いられる。共通する特徴は細長い体形で頭と胴が区別され,頭部に1対の触角がある。胴は同じような構造をした体節が並び,歩肢は10対以上約200対に及ぶ。気管で呼吸し,開放循環系をもち,排出はマルピーギ管で行う。雌雄異体。卵生で変態をするものは脱皮ごとに体節数の増える増節変態である。
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