多心皮類(読み)たしんぴるい(英語表記)Polycarpicae

世界大百科事典 第2版 「多心皮類」の意味・わかりやすい解説

たしんぴるい【多心皮類 Polycarpicae】

被子植物,双子葉植物の中で多数の心皮を有する植物の一群を指していう。通常,木本性のモクレンの仲間と草本性のキンポウゲの仲間がこの群に入れられるが,コショウの類やウマノスズクサの類までも,この群の仲間とすることも多い。この群に属する植物の中には心皮を一つしかもたないものもあるが,多くの類似点をもつことから自然群としてまとめられている。この仲間の特徴は一般的に花被やおしべ,心皮の数が多く,発達した花床をもち,比較的大きな花を咲かせる虫媒花であるということがあげられる。

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世界大百科事典内の多心皮類の言及

【双子葉植物】より

… 双子葉植物を大分けする有力な説はまだない。しかし一応は,モクレン目,キンポウゲ目,スイレン目など離生心皮をもつ群(多心皮類Polycarpicae),オトギリソウ目,アオイ目など上より下へつくられるおしべをもつ群,クルミ目,ブナ目など小型の単性花を尾状の花序につける群(無花被あるいは無花弁類Apetalae),ナデシコ目,タデ目など独立中央胎座ないしは基生胎座をもつ群(中心子群Centrospermae),バラ目,フトモモ目,セリ目など萼が宿存して萼筒をつくり,花要素の定数化と輪生が確立する群,シソ目など子房上位で合弁花をもつ群,キク目など子房下位で合弁花をもつ群などに大別される。【田村 道夫】。…

【双子葉植物】より

… 双子葉植物を大分けする有力な説はまだない。しかし一応は,モクレン目,キンポウゲ目,スイレン目など離生心皮をもつ群(多心皮類Polycarpicae),オトギリソウ目,アオイ目など上より下へつくられるおしべをもつ群,クルミ目,ブナ目など小型の単性花を尾状の花序につける群(無花被あるいは無花弁類Apetalae),ナデシコ目,タデ目など独立中央胎座ないしは基生胎座をもつ群(中心子群Centrospermae),バラ目,フトモモ目,セリ目など萼が宿存して萼筒をつくり,花要素の定数化と輪生が確立する群,シソ目など子房上位で合弁花をもつ群,キク目など子房下位で合弁花をもつ群などに大別される。【田村 道夫】。…

【被子植物】より

…花の多様性を説明するには,多系とみるほうがつごうがよいが,重複受精のようなひじょうに複雑な過程で共通している点を考えると,単系とみなすほうが妥当なように思われる。
[被子植物の分類]
 被子植物のうちどの群が原始的かを化石のうえで追跡することはむずかしいが,現生群の主として比較形態学的研究により,モクレン科やキンポウゲ科のような多心皮類を原始的とする意見と,ブナ科やヤマモモ科のような無花弁類を原始的とする意見が有力である。前説によると,突出した軸に多くの離生するおしべとめしべをつけた花が原始的で,それより退化などによって他の花を導こうとする。…

【尾状花序群】より

…被子植物の起源について,この無花弁類のような花弁のない単純な構造の花から花弁をもつ花が進化したとする立場をとれば,尾状花序群は最も原始的な植物群の一つであると考えられる。しかし現在,広く受け入れられている説では,大きな花を有するモクレンに代表されるような多心皮類が原始的な被子植物で,無花弁類の花弁がなく単純な花の構造は,風媒に適応することにより,二次的に生じた性質であると説明されている。【岡本 素治】。…

※「多心皮類」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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