多導体(読み)たどうたい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「多導体」の意味・わかりやすい解説

多導体
たどうたい

電力系統における送電線の1相当りの電線本数を2本以上に分けたものをいう。2本に分けたものを2導体、4本または6本に分けたものをそれぞれ4導体、6導体という。これに対して1本のものを区別するために単導体と称している。送電線は3相の電線を1回線とした三相交流で電気の輸送を行う。通常一つの鉄塔に2回線が設置されるが、2回線鉄塔では各回線を区別するため1号線、2号線と称している。1相当りの電線本数は、従来1本の導体を用いる場合が多かったが、高電圧化(500キロボルト、275キロボルトなど)するにしたがって、次に示す理由から多導体が多く採用されるようになってきた。(1)コロナ(送電線や変電所などにおいて空気の絶縁性が部分的に破れ、低い音や薄い光を伴うようになる放電現象で、損失増大、通信設備への雑音障害などの悪影響が発生する)に対して性能が高くなる。(2)電流が流れたときの損失が小さくなり、電気をより安全に輸送することができる。(3)標準サイズの電線数本を用いて大きい断面積をとることができる。ただし、多導体にすることは機械的問題を生じやすいので、設計・敷設面でいろいろ配慮すべきことも多い。

[松田高幸]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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