普及版 字通 「多(漢字)」の読み・字形・画数・意味
多
常用漢字 6画
[字訓] おおい・まさる・あまる
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
夕+夕。夕は肉の形。多は多肉の意。〔説文〕七上に「重ぬるなり。重夕に從ふ。夕なるは、相ひ繹(たづ)ぬるなり、故に多と爲す」と夕・繹(えき)の畳韻を以て解する。また「重夕を多と爲し、重日をと爲す」といい、多・を夕・日を重ねる意とするが、多は多肉、は玉を多く重ねる意。宜の初文は、俎上に多(肉)をおいて前に供える意。はそれに玉飾を加える形である。宜の初形は、卜文・金文においては多に従う。牲薦の肉の多いことから、のちすべて繁多・豊富の意となる。
[訓義]
1. おおい、お供えの肉が多い。
2. まさる、おおきい、すぐれる、あまる。
3. ほめる、多とする、ありがたくおもう。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕多 オホシ・オホクハ・ソコバク・マサル 〔立〕多 オホシ・カサヌ・ナマメカシ・ウツ・オモシ・オホカリ・アマタ・フトシ・イクバク・マサル・ヒロシ・モロモロ
[部首]
〔説文〕に・など三字、〔玉〕に別に二十五字を加えるが、すべて形声字である。(か)は〔説文〕七上に「齊にては多きを謂ひてと爲す」とし、〔玉〕には「楚人、多きを謂ふなり」とする。果とは外皮のないものであるから、とは大きな肉塊をいう語であろう。
[声系]
〔説文〕に・・移・宜・侈など十八字を収める。宜を〔説文〕七下に多の省声とするが、会意の字。多声の字には、繁多の意をもつものが多い。
[語系]
多tai、朶tuaiは声近く、朶(だ)は花葉が朶朶として垂れる形。墮(隋・)duaiも声近く、大きな肉塊がとして崩れようとする意。多くのものが重なり合い、崩れようとするさまをいう語である。
[熟語]
多哇▶・多飲▶・多婬▶・多雨▶・多衍▶・多応▶・多夥▶・多学▶・多感▶・多奸▶・多患▶・多艱▶・多岐▶・多忌▶・多技▶・多疑▶・多虞▶・多恵▶・多芸▶・多見▶・多言▶・多元▶・多故▶・多▶・多口▶・多行▶・多幸▶・多恨▶・多才▶・多材▶・多采▶・多歳▶・多財▶・多士▶・多子▶・多思▶・多嘴▶・多事▶・多時▶・多次▶・多辞▶・多識▶・多疾▶・多謝▶・多衆▶・多少▶・多情▶・多心▶・多銭▶・多多▶・多態▶・多大▶・多端▶・多貪▶・多智▶・多知▶・多難▶・多人▶・多年▶・多能▶・多半▶・多般▶・多聞▶・多病▶・多辟▶・多弁▶・多方▶・多忙▶・多望▶・多面▶・多門▶・多様▶・多欲▶・多力▶・多礼▶
[下接語]
殷多・過多・夥多・幾多・許多・最多・雑多・滋多・衆多・聚多・少多・饒多・数多・盛多・煩多・繁多・褒多・滅多
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報