外套
がいとう
Shinel'
ロシアの作家 N.ゴーゴリの短編小説。 1842年発表。いわゆる「ペテルブルグもの」と称される彼の作品系列のなかで最も重要な作品。貧しい小役人のアカーキー・アカーキエビッチは,やっとの思いで外套を新調した。だがそのためにひやかし半分の祝宴に引出され,無理に酒を飲まされたあげく,帰途,強盗に襲われて外套は盗まれてしまう。警察にも相手にされず,ある「重要人物」に願い出たが追返される。気落ちした彼は病気になり,寂しく死んでいく。彼の死後,官吏から外套を引きはがす幽霊が出るようになった。幽霊は最後に「重要人物」の馬車を襲って消える。ゴーゴリは「涙を通しての笑い」を通じて,「ちっぽけな人間」も「人間」であることを訴え,当時の読書界に大きな感銘を与え,その後のロシア文学の発展に多大の影響を及ぼした。
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がい‐とう グヮイタウ【外套】
[1] 〘名〙
※先哲叢談(1816)四「仁斎隠レ几閲レ書、一言不レ為二之答一。直卸二其所レ著外套一、以授レ妻」
※
江戸繁昌記(1832‐36)初「外套(〈注〉ハヲリ)の殊に長きは、必ず是れ塩冶判官が旧着」
② ものの外側をおおうもの。
※米欧回覧実記(1877)〈
久米邦武〉二「窯内に
磁器をいるるには、堅泥を以て外套を造る」
[2] (
原題Shinjel') 短編小説。ゴーゴリ作。一八四二年発表。下級官吏アカーキー=アカーキエビチのみじめな日常を描き、
ユーモアと
風刺の中に作者の深い同情がこめられている。
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デジタル大辞泉
「外套」の意味・読み・例文・類語
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外套
イタリアの作曲家ジャコモ・プッチーニのイタリア語による全1幕のオペラ(1918)。原題《Il tabarro》。パリ、セーヌ川の荷船の船長とその妻をめぐる愛憎をショッキングに描いた作品。
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普及版 字通
「外套」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の外套の言及
【コート】より
…最も外側に着用する,袖のついた長い丈の衣服。日本では外套ともいう。語源は,西ヨーロッパ中世に着用されたコットcotteに由来する。…
※「外套」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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