外ヶ浜(読み)ソトガハマ

デジタル大辞泉 「外ヶ浜」の意味・読み・例文・類語

そと‐が‐はま【外ヶ浜】

津軽半島北部にある町。また、同半島の陸奥湾に面した地域青森市東津軽郡一帯の古称。善知鳥うとう伝説で知られる。

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日本歴史地名大系 「外ヶ浜」の解説

外ヶ浜
そとがはま

津軽地域のうち、現在の東津軽郡と青森市を含む地域を外ヶ浜とよぶ。古代から使用されており、このほか現在も使用されている呼称に上磯かみいそ合浦がつぽがある。これらは一連の用語で、内浜である西海岸(西浜)からみて外になる地域で、陸奥湾岸一帯をさすといってよい。古代・中世、日本海航路で上方から来る船舶にとって、陸奥湾が外になった。また上方から近い方がかみ、遠い方がしもとなり、津軽半島の東側が上磯、浅虫あさむし(現青森市)以東の平内ひらない地区が下磯、その接合点が合浦あいのうら(がっぽ)である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「外ヶ浜」の意味・わかりやすい解説

外ヶ浜[町] (そとがはま)

青森県北西部,東津軽郡の町。2005年3月蟹田(かにた)町,平舘(たいらだて)村,三厩(みんまや)村が合体して成立した。旧三厩村は今別町を挟んで飛び地となった。人口7089(2010)。

外ヶ浜町東部の中南部に位置する旧町。東津軽郡所属。人口4010(2000)。津軽半島東岸,蟹田川流域を占め,陸奥湾に臨む。町域の90%は山林で,古くからヒバの美林で知られる。蟹田川河口に開けた中心集落の蟹田は,近世には津軽藩のヒバ材の積出港として発達し,日本海沿岸各地との交易が盛んであった。また三厩から海路を経て蝦夷地に至る松前街道の宿場でもあり,津軽半島北東岸一帯の上磯(外ヶ浜)地方の経済・文化の中心として栄えた。1951年にJR津軽線が通じた。蟹田川中・下流の沖積地には水田が開けるが,偏東風(やませ)の影響を受けてしばしば冷害に襲われるため畜産などに力を入れている。かつては陸奥湾内で沿岸漁業が盛んであったが,近年は振るわず,代わってホタテガイ養殖が盛んとなり,サケ,マスの人工孵化も行われている。80年下北半島脇野沢との間にフェリーが就航し観光拠点となった。蟹田の北にある観瀾山は眺望にすぐれ,太宰治の《津軽》でも知られ,文学碑がある。

外ヶ浜町北東部の旧村。東津軽郡所属。人口2451(2000)。津軽半島北東端に位置し,平舘海峡を隔てて下北半島に対する。津軽山地支脈をなす津軽半島最高峰の丸屋形岳(718m),袴腰岳などの山地が海岸に迫り,村域の95%を山林が占める。集落は海岸を通る旧松前街道(現,国道280号線)に沿って分布し,中心の平舘をはじめ街村をなす。陸奥湾の出入口を扼する平舘には,近世末に異国船警備のため弘前藩の台場が置かれた。基幹産業は農林漁業で,ホタテガイの養殖が行われるが,沿岸漁業は近年不振である。出稼ぎも多く,人口減少が進んでいる。明神崎には1899年に建てられた平舘灯台がある。

外ヶ浜町北西部の飛び地の旧村。東津軽郡所属。人口2709(2000)。津軽半島北岸にあり,村名は,源義経の厩(うまや)と伝えられる三つの岩洞にちなむという。津軽山地が海岸に迫り,村域の90%が山林で良質のヒバ材を産する。かつてはアワビ,コンブ漁で知られたが,第2次大戦後はイカ漁を中心とした沿岸漁業が盛んになった。中心の三厩は江戸時代には蝦夷地への出航地にあたり,松前藩本陣が置かれた。明治以降,青森~函館間の航路が開かれたためさびれ,1958年に国鉄(現JR)津軽線が通じるまでは〈陸の孤島〉であった。71年には青函トンネルの工事基地が置かれ,88年3月に工事が完成して津軽海峡線が開業し,北海道への玄関口となった。津軽半島最北端竜飛(たつぴ)崎は津軽国定公園に含まれる。
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外ヶ浜 (そとがはま)

青森県東津軽郡と青森市にかけての汎称。《詩経》〈小雅〉の〈率土浜(そつとのひん)〉(辺境の意)よりつけられた地名という。西行法師〈陸奥の奥ゆかしくぞ思ほゆる壺の碑(いしぶみ)そとの浜風〉(《山家集》)はその意である。外ヶ浜には善知鳥(うとう)という鳥が住むという。外ヶ浜に流謫されて没した烏頭中納言安方の化身で,親が〈うとう〉と呼ぶと,子が〈やすかた〉と答えるとされる。謡曲《善知鳥》はこの伝説に材を採る。青森市安方町に善知鳥神社がある。
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世界大百科事典(旧版)内の外ヶ浜の言及

【境】より

…これはもちろん観念上のことであり,鎌倉幕府の軍事・警察権が高麗(朝鮮)にまで及んでいたわけではけっしてない。実際の日本中世国家の東の境界は陸奥国の外ヶ浜であり,西の境界は鬼界ヶ島であった。境界の地である外ヶ浜とその先にある夷島は,国家的犯罪人の流刑地とされ,他方,かつては鬼のすみかとみられていた鬼界ヶ島は,王化(日本化)が進んで人のすみかとなった後も,なかば日本国に属し,なかば異域に属する両属的な境界の地であると観念され続けるのである。…

※「外ヶ浜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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