夏(漢字)

普及版 字通 「夏(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

(異体字)
14画

[字音] カ・ゲ
[字訓] なつ

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
舞冠を被り、儀容を整えて舞う人の形。〔説文〕五下に「中國の人なり。夊(すい)に從ひ、頁(けつ)に從ひ、(きょく)に從ふ。は兩手、夊は兩足なり」とし、古文一字を録する。金文字形は舞冠を著け、両袖を舞わし、足を高く前に挙げる形に作り、前の舞容を示す。古く九夏・三夏とよばれる舞楽があり、〔周礼〕にみえる。足を前にあげる形は(か)、その省文の疋(が)は(雅)の字義に用いられるが、夏・はまた通用の字である。夏を中国の意に用いることは春秋期の金文に至ってみえ、〔秦公(しんこうき)〕に「(蠻)夏」の語がある。また季節名に用いることも、春秋期以後にその例がみえる。

[訓義]
1. 舞の名。
2. 中国の古名。周辺の異民族に対していう。
3. 古代王朝の名。
4. なつ。四季の名は、文献では春秋期以後にみえる。
5. 華と通じ、あや。
6. 仮・などと通じ、大きい。

[古辞書の訓]
名義抄〕夏 オホキナリ

[声系]
〔説文新附〕に夏声として廈を収める。廈は大屋。榎(えのき)は国字

[語系]
夏・廈heaは同声。夏は舞容のすぐれる意。廈は大屋。(華)hoaと通用し、中夏をまた中華という。ngeaと通用することがあり、〔子、栄辱〕「君子に安んず」は、〔子、儒効〕に「夏に居りて夏なり」というのと同じ意で、通用する。

[熟語]
夏雨・夏・夏雲夏耘・夏炎・夏屋夏橘夏畦夏景夏蚕・夏時・夏日・夏首夏条・夏声・夏正夏楚・夏台・夏中夏鼎・夏・夏天・夏半夏峯・夏木夏籥・夏夏潦夏臘夏坐・夏至
[下接語]
一夏・炎夏・火夏・華夏・夏・季夏・九夏・区夏・結夏・三夏・残夏・肆夏・首夏・春夏・初夏・暑夏・諸夏・銷夏・深夏・清夏・盛夏・大夏・中夏・仲夏・長夏・冬夏・麦夏・半夏・晩夏・孟夏夏・有夏・陽夏・立夏


14画

(異体字)夏
10画

[字音]
[字訓] まい

[金文]

[字形] 象形
頁(けつ)は儀礼を行うときの姿。疋(が)は足を前にあげて舞う意。古帝王の舞楽に九夏・三夏として伝えられる夏の初文。金文の〔秦公〕に、夏に両袖を加えて、舞楽の意を残している。夏・(雅)は通用の字。の省体である疋を、〔詩、大雅〕〔詩、小雅〕の雅に用いることがある。

[訓義]
1. まい。
2. 省体の疋を、〔詩〕の雅の意に用いる。

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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