変数
へんすう
いろいろな値をとって変わる数量を表している文字を変数という。これに対して、ある数値、あるいは一定の値を表している文字を定数という。普通、変数を表すにはx、y、z、……のようなアルファベットのあとのほうの文字を、定数を表すにはa、b、c、……のように初めのほうの文字を用いることが多い。しかし、これは習慣上の問題であり、そうしなければならないという決まりがあるわけではない。
x、y二つの変数について、xのほうが主体的に変化する数で、yのほうは、xに「伴って変わる量」になっていることがある。このとき、xを独立変数、yを従属変数(xの関数)という。独立変数、従属変数はいくつあってもかまわない。変数が実数の値しかとらないとき実変数、複素数値もとるとき複素変数という。関数の性質を調べるとき、微分積分法は実変数の関数についての議論であり、複素変数としての微分積分法の議論を展開するときは、関数論(複素変数関数論、複素関数論ともいう)とよばれる分野となる。以上は原義的な変数の意味であるが、近年は、一つの集合を考察しているとき、その集合の要素を一般的に表す文字をも変数とよぶようになっている。
[竹之内脩]
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へん‐すう【変数】
〘名〙
① 変化した数。
※日本書紀兼倶抄(1481)「
万物の心を以て文字の多なるは五行の変数ぞ」
②
数学で、数量を一つの文字で表わす際、いろいろに変わり得る数量を表わす文字。〔工学字彙(1886)〕
③ コンピュータで、プログラム内で値が変化することのできる数。名前を付けて識別される(変数名という)。この名前と主記憶装置内の
特定記憶場所が一対一に対応していて、文の中でこの名前を用いると、この記憶場所の中の値が読み出される。⇔
定数
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変数
数学のxやyのように、値を代入する記号または文字列。プログラミングでは、変数に名前を付けて用いる。変数に代入する値は、数字や文字があり、数字の場合は整数や実数といったデータ型を指定して使う。また、プログラミングの中で変数が使用できる範囲が決められている場合がある。特定の関数や手続き内だけで使える変数をローカル変数(局所変数)、プログラム全体で使える変数をグローバル変数などという。
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デジタル大辞泉
「変数」の意味・読み・例文・類語
へん‐すう【変数】
1 数学で、数量を一つの文字で表すとき、一定の範囲にわたって任意の値をとり得る文字。x・y・zを用いることが多い。⇔定数。
2 《variable》コンピューターのプログラムで、数値や文字列などのデータを保持する仕組み。または、保持するデータの属性や利用目的に応じて与えられた、固有の文字や名称。保持したデータが適用される範囲により、ローカル変数とグローバル変数に分けられる。
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変数【へんすう】
一つの集合Xの任意の要素(値)を代表しうる文字xを変数といい,Xをその変域という。特に関数fの定義域をX,値域をYとするとき,Xを変域とする変数xを関数fの独立変数,Yを変域とする変数yをfの従属変数という。変域が実数(複素数)の集合である変数が実(複素)変数。→定数/媒介変数
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へんすう【変数 variable】
数学のある一つの問題の研究中において変化しうる量を表す文字を変数といい,変化しない量を表す文字を定数という。歴史的にみると,関数とは,たとえばy=ax2+bx+c,y=ex,y=sin xのような式で表されるものとされていたので,これらの例ではx,yは変数であり,xの変化に従ってyが変化すると考えるとき,xを独立変数といい,yを従属変数という。現代の関数概念では,一つの集合Xの要素xに他の集合Y(=Xでもよい)の要素yを対応させる対応関係をy=f(x)と書いて,yはxの関数であるというが,この場合もx,yを変数と呼ぶ。
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世界大百科事典内の変数の言及
【定数】より
…ある一つの問題の研究中において変化しないと考える量を表す文字を定数といい,変化しうると考える量を表す文字を変数という。例えば二次関数を表す式y=ax2+bx+cにおいてa,b,cは定数でありx,yは変数である。…
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