変態設立事項(読み)へんたいせつりつじこう

世界大百科事典(旧版)内の変態設立事項の言及

【株式会社】より

…その後,発起設立であれば発起人による払込取扱銀行に対する株金の払込み,発起人による取締役・監査役の選任が行われ(170条),取締役・監査役による設立手続の調査(173条ノ2)が行われた後,本店所在地で設立登記を行うことにより会社は成立する(57,188条)。定款に現物出資,財産引受けなどの変態設立事項を定めることもできるが(168条1項5号,6号),それには原則として裁判所の選任する検査役の調査を経なければならないため(173条),実際にはあまり利用されない。募集設立であれば,上記のほか,発起人以外の株主を募集し(174~179条),創立総会を招集して取締役・監査役の選任等を行う(180~187条)だけ制度が複雑になる。…

【財産引受け】より

…しかし,一定範囲の財産を会社に帰属させる効果を生じる点において,両者はそれほど異ならない。そこで発起人の不正行為や財産の過大評価による(現物出資の場合にも共通する)弊害を避けるために,法は財産引受けを〈変態設立事項〉の一つとして,定款に定める場合に限り認める(商法168条1項6号,有限会社法7条3号)こととするとともに,これを株式申込証にも記載させ(商法175条2項7号),裁判所が選任する検査役による調査を経させるなど厳重な監督に服させている(商法173条,181条,185条)。なお(1)財産の価格の総額が資本の5分の1を超えずかつ500万円を超えない場合,(2)財産が取引所の相場のある有価証券の場合,(3)財産が不動産で弁護士の証明等を受けた場合,においては検査役の調査は免除される(商法173条2項・3項)。…

【設立費用】より

…設立費用は発起人が一時立替えをし会社が成立したときには計算上会社の負担となる。しかし,乱費や過大見積りが行われると会社の財産的基礎が危うくなるので,それを防ぐため,法はこれを〈変態設立事項〉の一つとして,定款および株式申込証にその限度を記載させ(商法168条1項7号,175条2項7号,有限会社法7条4号),かつ,創立総会の承認(募集設立のとき)または裁判所の検査(発起設立のとき)を要するものとし(商法173条,181条,185条。検査役),記載のない額や記載超過額(あるいは創立総会の承認等を得られない額)は,会社の負担とはならないものとしている。…

【定款】より

…前者は,その記載が欠け,あるいは違法な場合には定款全部が無効となるような事項,例えば,法人の目的,名称,社員,機関,資産,事務所など組織に関する基本的事項であり,各種の法人につき法律で明示されている(民法37条,商法63条,148条,166条,有限会社法6条,中小企業等協同組合法33条1項等)。後者は,それを定めるかどうかは自由であるが,いったん定めた場合は,定款に記載しないと効力を生じない事項であり,現物出資財産引受けなどの変態設立事項はこれに属する(商法168条,有限会社法7条,中小企業等協同組合法33条3項等)。さらに,任意的記載事項として,強行法規,公序良俗,その法人の本質に反しない限りどんな事項も任意に定款で定めることができる。…

※「変態設立事項」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」