売り手市場・買い手市場(読み)うりてしじょうかいてしじょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「売り手市場・買い手市場」の意味・わかりやすい解説

売り手市場・買い手市場
うりてしじょうかいてしじょう

市場の需給関係において、需要のほうが供給よりも多いため、売り手(供給側)に有利な場合を売り手市場seller's marketといい、その反対の状態を買い手市場buyer's marketという。売り手市場では、買い手の間に競争が生じ、売り手は自己にもっとも有利な買い手に売り渡そうとする主導権を握ることができるから、その結果として価格は競り上げられ、騰貴する。買い手市場ではこの関係は逆転し、買い手が思うように供給内容を選択し、価格、数量、品質、タイミングについて自己の意志をもっとも有利に反映させることが可能になる。したがって、価格は低落傾向をとることになる。

 以上の関係は、商品市場だけでなく、労働市場、資本市場においてもまったく同様であり、求人、資本需要が求職、資本供給を上回れば売り手市場となり、賃金金利が上昇する。しかし現実には、情報の不完全性のため、価格や賃金の騰落は完全には作動しない。

[森本三男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android