士人(読み)しじん

精選版 日本国語大辞典 「士人」の意味・読み・例文・類語

し‐じん【士人】

〘名〙
① さむらい。
※彝倫抄(1640)跋「雖然士人馳騁官途商賈奔走市衢農工営営耕役之間
② 学問教養を身につけた人。身分地位をもった人。人士
家伝(760頃)上「百斉士人、窃妬其能、毒之」
行人(1912‐13)〈夏目漱石〉帰ってから「お前は〈略〉世渡りは己より旨いかも知れないが、士人(シジン)の交はりは出来ない男だ」 〔孔子家語‐五儀解〕

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デジタル大辞泉 「士人」の意味・読み・例文・類語

し‐じん【士人】

さむらい。武士
高い教養と徳を備えた人。また、社会的地位の高い人。人士。「士人の交わり」
[類語](2人士大人君子高士人間ひと人類人倫万物の霊長考えるあし米の虫ホモサピエンス人物じんもの

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普及版 字通 「士人」の読み・字形・画数・意味

【士人】しじん

一般官僚。学問修為をした人。〔晋書、劉頌伝〕今世の士人、決(かなら)ず悉(ことごと)くは良能ならざるなり。決ず悉くは疲軟ならざるなり。然れども今一忠賢を擧げんと欲するも、賞するを知らず。一敗(失敗)を求むるも、罰するを知らず。

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世界大百科事典(旧版)内の士人の言及

【郷紳】より

…明初以来,各府・州・県の学校制度が完備され,ここへの入学が官僚選抜のための科挙試験の基礎資格として必須になったが,これらの学校の学生は,中央の国立学校である国士監学生の資格保持者とともに生員と総称され,彼らを底辺として,儒教的教養を保持した知識人,いわゆる読書人の厚い層が地域社会に形成されていた。これら読書人の中で,郷紳は,清代中期までは,衿士(きんし)あるいは士人(しじん)という雅称で呼ばれる生員とははっきり区別され,地方官の側から地方の世論の形成者,行政の実質的支持者として重視されてきた。省の科挙試験の合格者で任官資格をもつ挙人(きよじん)は両者の中間の位置にあったが,どちらかといえば郷紳に近い。…

【賤民】より

…【阿部 謹也】
[中国]
 中国においては,古くから血統あるいは職業などによって区別される身分制度が存在した。具体的な例をあげていえば,良民と賤民,士人と庶人,士農工商の四民などである。良民には士人と庶人が属し,自由民であるが,士人は上級自由民,庶人は農工商の民で,下級の自由民であった。…

※「士人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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