境の神(読み)さかいのかみ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「境の神」の意味・わかりやすい解説

境の神
さかいのかみ

異郷と接する地点に祀る神。境は未知の世界と接するところとして最も危険な場所と意識されており,畏怖の念をいだく場所であるため,祀られる神の性格もまた恐ろしい威力をもつものとして信仰されている。外部に対しては威力をもち,境より内側の者には守護神的性格をもつものとされてきた。道祖神,地蔵塞の神 (さえのかみ) ,馬頭観音,鹿島人形,あるいは峠などに祀る柴神などがあり,そこを通る者は必ず参らないとたたられるとされていることが多い。道切りの注連縄 (しめなわ) や大きな片足草履も,境から悪霊侵入を防ぐ呪力をもつものとして境の神的性格をもつ。また境の神は空間的存在としてだけでなく,時間的境界の存在でもある。地獄の入口にいるという奪衣婆 (だつえば) などは,生死の境を支配する境の神的性格をもつ。

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