精選版 日本国語大辞典 「塩化ビニル樹脂」の意味・読み・例文・類語
えんかビニル‐じゅし エンクヮビニル‥【塩化ビニル樹脂】
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略称PVC樹脂.一般式
で表される塩化ビニルの重合体.現在,工業的には主として塩化ビニルの懸濁重合でつくられている.すなわち,耐圧反応容器内に少量の分散剤(おもにポリ(ビニルアルコール)),重合開始剤を含む水中に塩化ビニルモノマーを加え,はげしくかくはん,分散懸濁させて重合反応を行わせる.反応終了後,懸濁スラリーからPVC粒子を分離,乾燥させると粒径約100~150 μm のPVC粒状粉末が得られる.乳化重合は古くからヨーロッパで行われてきたが,現在では特殊用途のいわゆるペースト樹脂の生産に採用されている.水の使用量を減らして懸濁重合のコストを下げる試みとして,塊状重合も一部では行われている.PVC粉末は白色で,密度1.2~1.6 g cm-3.1.54.ガラス転移点70~80 ℃,約150~200 ℃ で融解する.耐水,耐酸,耐アルカリ性,電気絶縁性にすぐれ,難燃性である.しかし,熱,光に比較的抵抗性を欠き,脱塩酸して着色する.したがって,一般に可塑剤,安定剤,充填剤などの補助材料を加え成形加工される.可塑剤の混入度によって軟質,硬質に分けられる.フィルム,レザー,電線被覆,シート,繊維,パイプなどで広く利用されているほか,酢酸ビニル,塩化ビニリデン,アクリル酸エステル,アクリロニトリルなどの共重合体としての用途も多い.[CAS 9002-86-2][別用語参照]硬質ポリ(塩化ビニル),ポリ(塩化ビニル)
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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