塩事業法(読み)シオジギョウホウ

デジタル大辞泉 「塩事業法」の意味・読み・例文・類語

しおじぎょう‐ほう〔しほジゲフハフ〕【塩事業法】

塩専売制度廃止に伴い、塩事業の適切な運営よる良質な塩の安定的な供給確保と塩産業の健全な発展を図るために必要な措置を講ずることを定めた法律。平成8年(1996)制定

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩事業法」の意味・わかりやすい解説

塩事業法
しおじぎょうほう

塩事業法は、塩が国民生活に不可欠な代替性のない物資であることにかんがみ、塩事業の適切な運営による良質な塩の安定的な供給の確保と、わが国の塩産業の健全な発展を図るために、必要な措置を講ずることにより国民生活の安定に資することを目的として、1997年(平成9)4月1日から施行された。

 塩は人々の生活必需品としての重要性を有しているという理由により、歴史上世界各国において専売制度の対象とされてきた。わが国においても1949年(昭和24)6月1日施行された塩専売法に基づき日本専売公社により専売されていた。しかし臨時行政調査会の民営化勧告により日本専売公社日本たばこ産業株式会社(JT)として民営化されるに伴い、塩専売事業も専売公社から日本たばこ産業株式会社に引き継がれた。その後さらに高まる規制緩和要請にこたえるために、塩事業法が施行され、90年にわたる塩専売制度は幕を閉じた。

 この法律において「塩」とは塩化ナトリウムの含有量が100分の40以上の固形物と定義されている。法の目的を達成するために財務大臣は毎年度、塩需給見通しを策定するとともに、公表することが義務づけられている。また、塩の製造を行おうとする者、塩の特定販売を業として行おうとする者、塩の卸売を業として行おうとする者は財務大臣の登録を受けなければならない。また、財務大臣は塩の製造、輸入および流通に関する調査研究を行うことにより塩産業の健全な発展を図ることを目的として、全国で一つの法人を塩事業センターとして指定することができる。塩事業センターは生活用塩の供給、塩の備蓄、塩産業の効率化促進のために助言、指導その他の助成業務を行う。助成業務にかかわる経理については、他の業務と区分し助成業務特別勘定を設けて整理することが要請され、このための基金が置かれ、日本たばこ産業株式会社の塩専売事業にかかわる財産のうち一定額が拠出される。

[林 正寿]

『R・P・マルソーフ著、市場泰男『塩の世界史』(1989・平凡社)』『原豊著『現代塩産業論』(1997・同友館)』

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