場所請負人(読み)ばしょうけおいにん

世界大百科事典(旧版)内の場所請負人の言及

【ニシン(鰊∥鯡∥春告魚)】より

…また明治以降は安価なタンパク源食物としてのニシンの需要も増えた。 ところで,こうした低廉かつ豊富なニシン生産は東北の一部や道南の漁民,あるいは近江商人を中心とする場所請負人によって行われた。請負人は運上金と引替えに許可された〈場所〉に年間数千両の大金を投じ,番家(ばんや)を設け,刺網,建網,漁船などの漁具と雇漁夫(道南・東北漁民,アイヌ)を使い,独占的漁業経営を営んだ。…

【場所請負】より

… 18世紀にはいると,蝦夷地の漁業が不漁に陥って場所持の家臣の財政が悪化したことと,本州各地で蝦夷地の海産物(肥料,食品)への需要が高まったことにより,各場所の経営を商人にゆだね,家臣は毎年一定の運上金を受け取るという方式(場所請負)が広まった。場所の経営を請け負う商人は場所請負人と呼ばれ,場所に支配人,通詞,番人などの和人を派遣し,事務所,宿舎,倉庫を兼ねた運上屋を建て,アイヌに漁法を教えたり,アイヌを使役して海産物の生産量を増大させて収益をあげた。初期の場所請負人の多くは,江差,松前に出店を構えて移出入に従事していた近江系商人である。…

※「場所請負人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」