埴製枕(読み)はにせいまくら

改訂新版 世界大百科事典 「埴製枕」の意味・わかりやすい解説

埴製枕 (はにせいまくら)

遺骸頭部を安置するために特製した土製品。古墳時代に数例が知られており,それぞれ形態が相違する。奈良県天理市中山町灯籠山(とうろうやま)古墳例は,幅31cm,長さ29cmの低い箱形を呈し,底面は外湾する。上面に頭部をおくΩ形のくぼみを設け,外周を鋸歯文などで飾る。石枕(いしまくら)の形態に近く,4世紀に入る最古品である。同県五条市西河内町猫塚古墳例は,幅30cm,長さ24cm,高さ14cmの蒲鉾かまぼこ)形をなす中空品で,上面に円形のくぼみをそなえる。京都府京丹後市の旧丹後町産土山(うぶすなやま)古墳例は,三方を高い縁で囲む楕円形品で,環状の低い台をつける。高さ22cm,幅27cmをはかる。また,三重県志摩市の旧阿児町おじょか古墳例は,背に飾りの土板が付く。これらは5世紀の例である。なお,器台などの土器を転用した枕があるが,これは埴製枕とは区別する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の埴製枕の言及

【新興科学の旗の下に】より

…三木清,羽仁五郎らによって,1928年10月創刊された月刊理論雑誌。マルクス主義理論の研究を中心とし,執筆者には三木,羽仁のほか,本多謙三,高島善哉,奈良正路らがいる。…

【マルクス主義】より

…これに対して,〈27年テーゼ〉と共産党とに対立する山川,堺らは,雑誌《労農》を創刊(1927)し,非共産党マルクス主義者の集りとして労農派と称された。そのころ,3年にわたるヨーロッパ留学から帰国した哲学者三木清は,雑誌《思想》に《人間学のマルクス的形態》など独自の視点で一連のマルクス主義〈哲学〉に関する論文を発表し,学界や知識人・学生に広範な影響を与え,また羽仁五郎とともに雑誌《新興科学の旗の下に》を創刊(1928)して,マルクス主義を学問の公共圏に導入した。このように,マルクス主義は多くの知識人・芸術家をひきつけ,昭和初年のころには政治と学問・思想,文芸の世界でもっとも大きな力をもった思想となった。…

※「埴製枕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android