埋・填(読み)うめる

精選版 日本国語大辞典 「埋・填」の意味・読み・例文・類語

う・める【埋・填】

〘他マ下一〙 う・む 〘他マ下二〙
① くぼんだ所や低い所などに物をつめてふさぐ。
書紀(720)神代上(水戸本訓)「春は則ち渠(みそ)(ウメ)畔毀(あはな)ちす」
② 物の一部、または全部を土の中などに入れ込んで外から見えなくする。また、埋葬する。
※雑俳・川柳評万句合‐明和六(1769)松三「もふ片(かタ)目無いと勘介埋められる」
③ あたたかさや濃さを適度にするために、他の物をまぜ入れる。
(イ) ぬるくするために、湯に水を入れる。また、あたたかくするために湯を加える。
※紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一一日「御湯まゐる。〈略〉とりつぎて、うめつつ」
(ロ) 味などを薄めるために、他の物をまぜ入れる。
※羅葡日辞書(1595)「Meracior〈略〉サケニ ミヅヲ スコシ vmete(ウメテ) ノム」
④ 人や物である場所をいっぱいにする。「うずめる」を使う場合が多い。
※雑俳・柳多留‐一一(1776)「けいせいにうめられて居る惣仕舞」
⑤ (①の比喩的用法) 損失や不足などを補う。「赤字をうめる」
※雑俳・柳多留‐二四(1791)「借金の穴へ娘をうめるなり」
⑥ 入れる意の隠語。もと、楽屋詞。
滑稽本浮世床(1813‐23)初「質(はち)を入(ウメ)る使(つけへ)はいつでも主(ぬし)か」
⑦ 取引相場で、転売や買い戻しによって取引関係を打ち切る。〔国民百科新語辞典(1934)〕
[補注]「うずめる」との違いについては、「うずむ(埋)」の語誌参照。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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