垂水(読み)タルミズ

デジタル大辞泉 「垂水」の意味・読み・例文・類語

たるみず〔たるみづ〕【垂水】

鹿児島県中部、大隅半島西岸の市。鹿児島湾に臨み、桜島に近く、火山灰シラス台地が多い。ミカン・ポンカンエンドウの栽培やハマチクルマエビの養殖などが盛ん。人口1.7万(2010)。

たる‐み【垂水】

垂れ落ちる水。滝。
「命をさきく良けむと石走いはばしる―の水をむすびて飲みつ」〈・一一四二〉

たるみ【垂水】

兵庫県神戸市西部の区名。明石海峡に臨む。宅地化が進む。

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精選版 日本国語大辞典 「垂水」の意味・読み・例文・類語

たる‐み【垂水】

[1] 〘名〙 垂れ落ちる水。滝。瀑布(ばくふ)
万葉(8C後)八・一四一八「いは走る垂見(たるみ)の上のさわらびのもえいづる春になりにけるかも」
[2]
[一] 兵庫県神戸市の区名。昭和二一年(一九四六須磨区から分離して新設された。市の西部にあり、明石海峡に臨む。塩屋・舞子ノ浜などは、古くから白砂青松景勝地として知られる。同五七年に西区を分区。
[二] 大阪府吹田市の南西部の地名
[補注](一)の万葉歌の「いは走る」は、平安鎌倉期の訓では「岩そそぐ」。平安期には「万葉‐一四一八」に「垂見(水)」を「垂氷(たるひ)」とする異伝がある。

たるみず たるみづ【垂水】

鹿児島県中部の地名。大隅半島の北西部、鹿児島湾に面する。ミカン・ポンカン・ビワなどの果樹栽培、ハマチ・クルマエビなどの養殖漁業がさかん。昭和三三年(一九五八市制

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日本歴史地名大系 「垂水」の解説

垂水
たるみず

中世後期からみえる地名。下大隅郡(下大隅)に含まれ、江戸時代の市来いちき中俣なかまた両村が垂水村と称されることから(三国名勝図会)、この両村一帯に比定されるか。文明六年(一四七四)の行脚僧雑録(雲遊雑記伝)島津忠昌の「御内」(当奉行)として下大隅の石井氏の名がみえ、これは垂水の丹波守義忠との朱筆がある。蒲生氏系図(蒲生郷土誌)によると、保安元年(一一二〇)豊前宇佐宮留守職教清の子舜清は垂水に下向、同四年に蒲生かもう院・吉田よしだ院を領して蒲生に移り、蒲生氏を称したというが、舜清の垂水の拠点は垂水城(市木の元垂水に所在)であったと伝える。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「垂水」の意味・わかりやすい解説

垂水
たるみ

神戸市南西部、垂水区の中心地区。旧垂水町。播磨(はりま)国の東端にあり、古代には東大寺領垂水荘(しょう)の地。明石(あかし)海峡に臨む。六甲山地と海岸の間の狭い地域で、明石層群の丘陵海岸段丘からなる。地名も、断崖(だんがい)が海に迫り滝や急流が流下したことに由来するという。開発の歴史は古く、縄文前期、弥生(やよい)後期の住居跡のある複合遺跡大歳山(おおとしやま)遺跡や、前方後円墳の五色塚(ごしきづか)古墳(国の史跡)があり、神功(じんぐう)皇后の創建と伝えられる海(わたつみ)神社がある。昭和初期に、塩屋の山地が外人住宅地に開発されジェームス山と名づけられたのを機に、急速な住宅地化が始まった。山陽本線(JR神戸線)、山陽電鉄本線、国道2号が通じる。また明石海峡大橋が淡路(あわじ)島に架かる。

[二木敏篤]


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改訂新版 世界大百科事典 「垂水」の意味・わかりやすい解説

垂水[市] (たるみず)

鹿児島県のほぼ中央,大隅半島の西海岸にある市。1958年市制。人口1万7248(2010)。鹿児島湾をへだてて鹿児島市と相対し,大隅半島への出入口にあたる。市域は桜島の基部一帯を占め,東部は高隈山地で,その西にシラス台地がつづく。中心市街の垂水は高隈山地から発する本城川の河口にあり,古くから大隅地方の中心で,近世には北部の牛根,南部の新城とともに薩摩藩支配の拠点である外城(とじよう)としての役割を担った。1871年(明治4)の廃藩置県後,支庁,郡役所などが置かれたが,87年郡役所は内陸部の鹿屋(かのや)に移り,繁栄を奪われた。しかし現在も鹿児島市と大隅半島を結ぶ交通の要衝であり,鹿児島へ約35分で通じるフェリーが37往復し(2008),年間輸送人員310万人,車両98万台(1996)に達する。気候温暖のためポンカン,ウンシュウミカン,ビワなどの果樹類や野菜の栽培が行われ,特にサヤエンドウの出荷が多い。またハマチ養殖を中心とする漁業も盛んである。ツツジの多い高峠高原はキャンプ,ハイキングに好適で,大隅自然休養林に指定されている。海潟温泉,垂水温泉があり,特に近年健康ブームにのって飲む温泉水の摂取販売が盛んである。
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