坐忘(読み)ざぼう

精選版 日本国語大辞典 「坐忘」の意味・読み・例文・類語

ざ‐ぼう ‥バウ【坐忘】

〘名〙 静座して雑念を去り、われを忘れること。
本朝文粋(1060頃)一・遠久良養生方〈兼明親王〉「痴王湛、慵嵆康、任行楽、入坐忘」 〔荘子‐大宗師〕

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デジタル大辞泉 「坐忘」の意味・読み・例文・類語

ざ‐ぼう〔‐バウ〕【×坐忘】

仏語。静座して現前世界を忘れ、雑念を除くこと。

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普及版 字通 「坐忘」の読み・字形・画数・意味

【坐忘】ざぼう(ばう)

彼我の別を忘れる。〔荘子、大宗師〕顏回曰く、回せりと。~(子)曰く、何の謂(いひ)ぞやと。曰く、回坐せりと。仲尼蹴然(しゆくぜん)として曰く、何をか坐と謂ふと。顏回曰く、肢體を墮(す)て、を黜(しりぞ)け、形を離れ知を去り、大に同ず。此れを坐と謂ふと。

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改訂新版 世界大百科事典 「坐忘」の意味・わかりやすい解説

坐忘 (ざぼう)
zuò wàng

身心を脱落放下して根源的な〈道〉と冥合し,〈物〉すなわち外物と〈我〉すなわち自己とが一体化した境地。《荘子》大宗師篇にもとづくことば。《荘子》人間世篇では坐忘と類似の心の修養法が〈心斎(しんさい)〉と呼ばれている。唐の道士司馬承禎の《坐忘論》は,坐忘を道教修行の根本にすえ,それを〈敬信〉することにはじまって,〈得道〉にいたるまでの,実践の過程を7段階に分けて論じている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「坐忘」の意味・わかりやすい解説

坐忘
ざぼう

心斎・坐忘」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の坐忘の言及

【斎】より

…一つは精神的な修行の最高の段階で,精神集中と瞑想の極限において無為自然の道に一体化した状態を指す。これは《荘子》に見える〈心斎〉という言葉にもとづき,また〈坐忘〉ともよばれて,道士が到達しうる最高の精神状況とされる。もう一つは信者を救うための祭りそのものを指す。…

※「坐忘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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