地層累重の法則(読み)チソウルイジュウノホウソク

デジタル大辞泉 「地層累重の法則」の意味・読み・例文・類語

ちそうるいじゅう‐の‐ほうそく〔チソウルイヂユウ‐ハフソク〕【地層累重の法則】

重なり合う二つ地層がある場合、上の地層は下の地層よりも新しいという法則。17世紀デンマークの科学者ニコラウス=ステノが提唱し、18世紀英国の土木技師ウィリアム=スミス層序学の基本原則として確立した。ステノスミスの法則。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「地層累重の法則」の意味・わかりやすい解説

地層累重の法則
ちそうるいじゅうのほうそく

地層が何層にもわたって積み重なっているとき、地層全体が後の褶曲(しゅうきょく)などで逆転していない限り、上位の地層のほうが下位の地層よりも若いという地質学の根本法則。累重の法則ともいう。層序学、生層序学など、地球年代学の基礎となる学問はすべてこの法則に基づいている。

 地層累重の法則はデンマークのステノによって、1669年に初めて明らかにされた。そのころには、まだ地層の重なり方や、地層の形成された順序・時代などについての概念がよく理解されておらず、この法則の発見以後、地層の層序という概念がはっきり理解されるようになった。このことにより、各地域で層序が明らかとなり、また互いに離れた地域での地層の層序を対比することが可能となった。その後、イギリスのW・スミスによって、同じ層準の地層からは同種化石が産出することが明らかにされ、ひいては化石を利用して地層の対比が行われるに至った。このように、一見きわめて当然にみえる法則であるが、地質学の発展上与えた影響は大きい。

[村田明広]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「地層累重の法則」の意味・わかりやすい解説

地層累重の法則 (ちそうるいじゅうのほうそく)
principle of superposition

W.スミスによって始められた層位学の二つの基本法則一つで,もし一連の岩石が他の岩石の上に重なっており,構造的に逆転などしていない場合には,上にのる岩石が新しいという意味である。相重なる二つの地層の空間的上下関係から時間的前後関係を読みとることができる。
地層
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「地層累重の法則」の意味・わかりやすい解説

地層累重の法則【ちそうるいじゅうのほうそく】

地質学の基本法則の一つ。〈互いに重なる地層において,もともと下にあるものは,上にあるものよりも古い〉といい表される。地球の歴史を編む際,地層の新旧を決定する場合のよりどころとなる。この法則は,ラミナの単位ではあてはまらず,単層以上の単位に適用される。W.スミスが1791年に定立。
→関連項目ステノ地質学地層

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

法則の辞典 「地層累重の法則」の解説

地層累重の法則【law of superposition,principle of superposition】

ステノ‐スミスの法則*ともいう.相重なる二つの地層のうち,本来下位にあった地層は上位の地層より必ず古い.1764年,デンマークのステノ(N. Steno)の発見になる.後,1791年に英国のスミス(W. Smith)が基本法則として定立した.層位学の基礎である.堆積層では最も上(高いところ)にあるものが最も新しく,下にあるものほど古い地層である.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

岩石学辞典 「地層累重の法則」の解説

地層累重の法則

層状の岩石で乱されていない層位学的な順序は,上部の岩石は底の岩石よりも若いという規則[Steno : 1669, Dumbar & Rodgers : 1963].

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の地層累重の法則の言及

【地質時代】より

…第2の方法は,地表にあらわれた岩層について,岩層相互の関係を調べ,岩層が生成された順序に配列することにより,地球の歴史を刻んだ一連の岩層の重なりを復元することである。これには地層累重の法則と交叉切りの法則と呼ばれる,二つの地質学の経験法則が使われる。地層累重の法則とは,上位にあるものはあとで重なったという法則で,いろいろな場所で異なった地層の上下関係を知ると,より下位の地層ほどより古い地球の歴史を刻んでいることがわかる。…

【地層】より

…(1)堆積層は固まった基盤の上に形成される,(2)したがって下の基盤層は新規の堆積の始まる前に固結していなければならない,(3)一つの層は地表をすべて覆っているか,または他の層によって局限されて分布する,(4)一連の堆積が継続中はそこに水が存在して沈殿が行われるのであるから,その下にある地層は上のものより古い。このステノが観察したものが,地史学における基本的概念の一つといわれる〈地層累重の法則〉に発展する。18世紀になって,現代地質学が確立していくが,その間に貢献のあった2人を挙げるとJ.ハットンとW.スミスである。…

※「地層累重の法則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android