地下人(読み)じげにん

精選版 日本国語大辞典 「地下人」の意味・読み・例文・類語

じげ‐にん ヂゲ‥【地下人】

〘名〙
朝廷の官人のうち、清涼殿殿上の間に昇殿する資格を認められない者。地下。じげびと。
※九暦‐九条殿記・駒牽・天慶五年(942)九月二日「予起座給一鵇毛。保平朝臣不給。依地下人也
位階官職など公的な地位を持たぬ者。地下。庶民。世俗。民衆。じげびと。
太平記(14C後)二七「見物の者と云は、洛中の地下人、商買の輩共也」
※浮世草子・西鶴織留(1694)六「さもしき地下人(ヂゲニン)にあい見えねば」
③ 支配下、または管轄下の土地の住民。領民。治下。地下。地下衆(じげしゅ)。地下の衆。じげびと。
※太平記(14C後)一「地下人代官を背きて、合戦に及ぶ事あり」
塵芥集(1536)七八条「しょしょの地とう・そうせいばい・しゅこのつかい、ちけにんにたいし、年貢・もろもろのくうじぶさたのよし、しちとりにをよぶのとき、百しゃうらはやくしちをわたすべし」

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デジタル大辞泉 「地下人」の意味・読み・例文・類語

じげ‐にん〔ヂゲ‐〕【地下人】

地下じげ1」に同じ。
地下じげ2」に同じ。
「侍は知行を取り上げられ、―は身上衰へて田地売りて」〈仮・浮世物語・五〉
地下じげ3」に同じ。
「国々のつはものに、和仁わに堅田かただの―どもを差し添へて」〈太平記・一七〉

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世界大百科事典(旧版)内の地下人の言及

【地下】より

…(2)〈官人〉に対する語で,位階・官職などの公的資格をもたないこと,およびその人を指す。特に南北朝・室町時代には,公家,武家,僧侶などに対する一般の庶民,民衆,世俗の人々の総称として〈地下人〉という呼称が広く使用されたが,そこでは多くの場合,個人の庶民ではなく集団として対象化されているところに特徴が認められる。荘園年貢の納入請負制度において,地頭請や守護請に対し,在地の農民である名主・百姓たちが惣村として年貢納入を請け負う制度を地下請といい,村人たちが必要な資材や労力を提供しあって一村共同で経営した網漁業を地下網といったごときは,この例である。…

※「地下人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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