在外正貨(読み)ザイガイセイカ

デジタル大辞泉 「在外正貨」の意味・読み・例文・類語

ざいがい‐せいか〔ザイグワイセイクワ〕【在外正貨】

金本位制度下で、国際間の決済のために、政府または中央銀行が、正貨準備うち、他の金本位国の中央銀行に預けた金銀貨幣・金銀地金など。

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精選版 日本国語大辞典 「在外正貨」の意味・読み・例文・類語

ざいがい‐せいか ザイグヮイセイクヮ【在外正貨】

〘名〙 外国に保管されている自国正貨。国際間の貸借を決済するために必要な正貨の輸送を省略するため、また、正貨の輸出禁止あるいは制限している外国において正貨を取得した場合に、外国の中央銀行に預けられている。〔や、此は便利だ(1914)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「在外正貨」の意味・わかりやすい解説

在外正貨
ざいがいせいか

金本位制度のもとで一国の中央銀行または政府が対外決済のために海外の金融市場 (ロンドンニューヨーク) において保有する金貨金地金ほか預金,短期証券など,英ポンドや米ドルにただちに換金できる債権をさす。金以外の債権も含まれていることから在外資産と呼ばれることもある。日本では 1896年ロンドンにあった在外正貨の一部が正貨準備に繰入れられてから 1922年8月にそれが解除されるまで,正貨準備に在外正貨が充当されていた。法制上,在外正貨が正貨準備に充当されているか否かにかかわらず,それは国内正貨の代用の役割を果していた。

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百科事典マイペディア 「在外正貨」の意味・わかりやすい解説

在外正貨【ざいがいせいか】

国際金本位体制下において,一国の正貨準備には,現実の金貨または金地金の保有のほかに,直ちに確実に金に換え得るもの,たとえば他の金本位国の中央銀行への預金も含まれる。この預金が在外正貨であり,国際取引決済のために,ロンドンやニューヨークなど国際金融中心地に用意される。→金本位制度

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世界大百科事典(旧版)内の在外正貨の言及

【金解禁】より

…高橋是清蔵相(1918年9月~22年6月)は,対中国政策の観点から金保有を重視し,金解禁をおこなわなかった。19年以降,貿易収支は大幅な赤字に転じ,為替相場は平価(100円=497/8ドル)を下回る円安傾向を示したが,高橋蔵相は在外正貨(政府・日本銀行が国外に保有する正貨)の払下げによって為替相場の下落を一定限度に抑えた。大戦中の巨額な在外正貨の蓄積が,しばらくは政友会内閣(原敬・高橋是清内閣)の金本位制停止下の積極的経済政策を可能にしたのである。…

※「在外正貨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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