在(漢字)

普及版 字通 「在(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音] ザイ・サイ
[字訓] ある・おる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
才+士。才は神聖を示す榜示の木で、在の初文。卜文・金文では、才を在の字義に用いる。士は鉞頭の形。その大なるものは王。王・士もまた聖器で、身分象徴に用いた。神聖の表示である才と士とを以て、その占有支配の意を示したものと思われる。〔説文〕十三下に「存なり」とし、「土に從ひ、才聲」とするが、金文の字形は士に従う。金文には才声の字である載・をみな在の意に用いる。〔師虎(しこき)〕「先王に(あ)り」、〔段(だんき)〕「王、畢に(あ)り」、〔卯(ぼうき)〕「乃(なんぢ)の先考に(あ)り」などの例があるが、それらはみな才・在と通用する用義である。在にまた在察・存問の意があり、〔儀礼聘礼〕「子(し)、君命を以て寡君を在(と)ふ」、〔書、舜典〕「玉衡(せんきぎよくかう)を在(あき)らかにす」のように用いる。子に聖記号として才を加えた存の字にも、存問の義がある。

[訓義]
1. ある、特定の時、また所にある、位置を占める、います、聖的な存在であること、清められたものをいう。
2. 人がおる、います。
3. みる、あきらかにみる。
4. たずねる、みまう。

[古辞書の訓]
名義抄〕在 アリ・マシマス・ハムベリ・ツバビラカ・アキラカニナリ・オキテ/自在 ワガマムマナリ/在々 トコロトコロ 〔字鏡集〕在 アキラカ・ヲハル・アリ・オク・ナク・マス・ハンベリ・マシマス・ツバビラカ・オキテ・ムカシ・ヰル

[声系]
〔説文〕に在声として艸部の一字を収めるが、声義の関係はない。〔玉〕に恠の字を収めるが、怪の俗字である。

[語系]
在dzは存dzunと声義の関係をもつ字と思われる。存在と連用する。字形に即していえば、在は神聖の榜示としての才に、聖器としての鉞頭の士を加えて、その領有支配を明確にする意であろう。また存は、子に神聖の榜示を加えて、その生存を祓い保障する意を含むものであったと思われる。

[熟語]
在握・在案在位・在役・在下・在仮・在家・在我在外・在官在監在疚在京在郷在勤・在後・在在・在察・在事・在室・在日・在舟・在処・在所・在上在職・在心・在世・在生・在勢・在昔・在籍・在先・在・在草・在側・在俗・在庁・在朝在廷・在途在逃・在堂・在内在任・在念・在服・在亡・在目在野在来・在理
[下接語]
安在・行在・越在・介在・外在・近在・君在・見在・健在・顕在・現在・顧在・好在・混在散在・自在・実在・所在・如在・常在・昔在・潜在・存在・滞在・駐在・長在・点在・内在・不在・伏在・平在・偏在・遍在

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android