圧状(読み)おうじょう

精選版 日本国語大辞典 「圧状」の意味・読み・例文・類語

おう‐じょう アフジャウ【圧状】

〘名〙
① 脅(おど)して強制的に書かせた文書
裁判至要抄(1207)一「戸婚律云、〈略〉又於圧状者、不証文
源平盛衰記(14C前)二三「人をおどして思ふ様の文をかかせんと仕るをば、乞素(こっそ)圧状(アフジャウ)と申して」
② (当て字で「往生」とも) 転じて、無理におしつけて、承知させること。また、無理に承知させられること。〔俚言集覧増補)(1899)〕

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デジタル大辞泉 「圧状」の意味・読み・例文・類語

おう‐じょう〔アフジヤウ〕【圧状】

脅しつけて強制的に書かせた文書。
乞素こっそ―と申して政道にも用ひず」〈盛衰記・二三〉
無理に押しつけて同意させること。当て字で「往生」とも書く。→往生おうじょうくめ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の圧状の言及

【請文】より

…また末尾に〈起請(きしよう)の詞〉を加えて誓約の意を強める場合もある。次に請文の表示する上位者と下位者の関係の内容に触れると,まず,請文は,暴力的強圧によって責め取られる圧状である場合もあるが,通常は,復命・承諾・申請・請願などのさまざまな場合に,一定の強制力を前提としつつも納得ずくの関係で提出される。請文提出の対象となる事柄は,(1)上位者の命令や指示の下達,(2)一定の職務,官衙や荘園の所職などへの任命,(3)土地,動産,人身などの諸物件の授受などきわめて多様である。…

【白状】より

…罪状を個条書にしたものや,糾問者との問答形式をとるものなど,様式は一定しないが,必ず末尾に犯人の署判がある。鎌倉幕府は御成敗式目において共犯者の認定の際,犯人の白状よりも贓物の有無に証拠能力を認め,また1253年(建長5)の撫民法においてその領民の被疑者に対し,拷問を加えて強制的に作成させた圧状を責めとり,これを白状と称して断罪することを禁じている。このように鎌倉幕府の刑事裁判では白状の証拠能力は低く,また任意の自白による白状がたてまえとされていることが知られるが,在地領主などの検断沙汰においては,圧状的な白状と,それにもとづく処刑が一般的であった。…

※「圧状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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