土居川(読み)どいがわ

日本歴史地名大系 「土居川」の解説

土居川
どいがわ

堺の旧市街を囲繞する環濠で、堺の全盛期の自治・自衛の象徴としてよく知られている。一五六二年、ポルトガル人宣教師ガスパル・ヴィレラが本国に対して「町は甚だ堅固にして、西方は海を以て、又他の側は深き堀を以て囲まれ、常に水充満せり」と報告している(耶蘇会士日本通信)。永禄一一年(一五六八)入京を果した織田信長が次の攻略目標として堺を選び、矢銭二万貫を要求してきた時、堺の会合衆はこれを拒んだが、「続応仁後記」に「能登屋・臙脂屋両庄官ヲ大将トシ、堺津一庄ノ諸人多勢一味シ、溢レ者諸浪人等相集テ北口ニ菱ヲ蒔キ堀ヲ深シ櫓ヲ揚ゲ、専ラ合戦ノ用意シテ信長勢ヲ防カントス」とあり、環濠が防衛の役割を果していたことを知ることができる。しかし中世の環濠は天正一四年(一五八六)豊臣秀吉によって埋められ、「宇野主水日記」同年一一月条に「去月廿六日より堺南北ノ堀ヲウムルナリ、関白殿ヨリ被仰出候事、十一月三日四日之時分ハ大方ウメタル也、自身御出普請即時ニハカユクト申」と記される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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