土公神(読み)どくじん

精選版 日本国語大辞典 「土公神」の意味・読み・例文・類語

どく‐じん【土公神】

陰陽道で、土をつかさどる神。この神が土中にいる時期に土を犯したり、この神の遊行方角に向かって土木工事を行なうことを忌む。土公(つちぎみ・どくう・どこう)。どこうじん。〔諸国風俗問状答(19C前)〕

どこう‐じん【土公神】

※改正増補和英語林集成(1886)「Dokōjin ドコウジン 土公神」

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デジタル大辞泉 「土公神」の意味・読み・例文・類語

どく‐じん【土公神】

陰陽道おんようどうで土をつかさどる神。春はかまど、夏は門、秋は井戸、冬は庭にあって、その季節にその場所を動かせばたたりがあるとされる。つちのかみ。つちぎみ。どくう。どこう。どこうじん。

どこう‐じん【土公神】

どくじん(土公神)

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改訂新版 世界大百科事典 「土公神」の意味・わかりやすい解説

土公神 (どこうじん)

陰陽道系の神で,《和名類聚抄》には,土公とあり,春は竈(かまど),夏は門,秋は井戸,冬は庭にいる遊行神とし,《簠簋内伝(ほきないでん)》もこの説を踏襲する。土公は地霊的存在で,その所在を侵すとたたるとされ,平安時代以降陰陽師による地鎮の土公祭が行われた。現在では竈神様相が強いが,四季の土用には土を動かすなとか,春秋の社日(しやにち)には土公神をまつるなど,地霊的側面もある。中国地方の民間ではロックウサンなどと呼ばれ,家の火所にまつられ,火や竈の神のほか農業神や家族の守護神とされる。修験者は病気を六三のたたりとし,患者の年の数を9で割って残った数を身体の各部に付けた数と照合して患部を明らかにし,六三よけの秘法を修することによって民衆の不安にこたえた。

 中国地方には,中世起源をもつ土公神の由来を語る祭文が伝わり,弓をたたいて語ったり,神楽のなかで五行祭,王子舞と称して舞ったりした。その内容は,盤古大王が天地を作り,4人の王子(竜王)に四季と四方の所務を配分したが,大王没後に生まれた五郎の王子が4人と争い,四季18日の土用を割譲して中央の神(黄竜)とすることで決着がつくという話である。王子舞は,荒神の神がかりの託宣に先立って舞うものとされ,中世的な地割の思想と,竈神,地霊の要素が混然一体となっている。
竈神
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「土公神」の意味・わかりやすい解説

土公神
どくじん
Tu-gong-shen

中国の土地を司る神。現在は,台湾でも「土地公」の名で盛んに信仰されている。

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世界大百科事典(旧版)内の土公神の言及

【方違】より

…外出するのにその方角が禁忌とされる場合,前日に他の方角へ赴いて泊まり,そこから目的の地にゆくものである。方忌の根拠としては生年の干支である本命から個人的に凶方を割り出し,これを避けるものと,天一神(中神(なかがみ)),太白神,金神,王相,八将神,土公神などの諸神が遊行する方角や鬼門を忌む人々に共通のものとがある。前者は865年(貞観7)8月21日に清和天皇が東宮より内裏に移ろうとしたとき,天皇の本命が庚午で,東宮より内裏の方向である乾は絶命に当たるゆえ避けらるべきことを陰陽寮が上奏し,このためいったん太政官曹司庁に入っており,これが初例とされている。…

※「土公神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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