園廻り(読み)ぎおんまわり

日本歴史地名大系 「園廻り」の解説

園廻り
ぎおんまわり

[現在地名]東山区下河原しもかわら町・鷲尾わしお町・桝屋ますや町・八坂上やさかかみ町・月見つきみ町・上弁天かみべんてん町・下弁天しもべんてん町・みなみ町・金園きんえん町・星野ほしの町・毘沙門びしやもん

祇園社の正門、南楼門の門前に展開する街区で、下河原八坂と称される一帯。祇園と称される地域は、ほかに祇園村(町)を含み、その境界は必ずしも判然としない。「坊目誌」は「耕者部落を作及、之を祇園村と称し、付近周囲を祇園廻と云ふ」と記す。山城国高八郡村名帳(享保一四年)は石高九四石六斗余のすべてを祇園社領とするが、絵図類(上河原雄吉家文書)によれば、他に建仁寺・知恩院などの所領もあり、入組地の分布が複雑である。

古代は愛宕おたぎ郡八坂郷(和名抄)の地で、市街化は中世よりみられる。長禄四年(一四六〇)の祇園社境内分地口帳(祇園大路に面する軒幅を書上げた地口銭の課税台帳)によると、軒幅の広い酒屋を別にして、洛中町屋とほぼ同規模の一、二丈となっており、祇園社と関係のある職人(檜皮屋・大工・結桶・糸屋・茶屋・筆屋・煎餅屋・櫛屋・針屋・酒屋・紺屋・鍛冶屋・畳屋・山大工)が軒を連ねる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報