国際世論(読み)こくさいよろん

百科事典マイペディア 「国際世論」の意味・わかりやすい解説

国際世論【こくさいよろん】

国際的な諸問題に対して,世界で大勢を占める考えのこと。現代では国際世論形成にあたって国際連合をはじめとする国際組織が大きな役割を果たしている。特に,国連総会は加盟国のすべてが参加するもので,そこでの意向は無視できない力となって各国に影響を与える。とりわけ,1960年代後半からアジア・アフリカ諸国をはじめとする発展途上国はその数を頼りに総会の場を利用して,国際世論の形成をはかり,それを武器に先進国へのさまざまな要求を突きつけるという外交攻勢を展開,国際世論の力というものを各国に認識させる結果となった。また,国連以外のさまざまな政府間組織や民間の国際組織であるNGO非政府組織)さらにはマス・メディアなども国際世論の形成に一定の役割を果たしており,相互依存関係がますます深まる現代の国際社会においては,そうした国際世論を踏まえた外交政策が不可欠なものとなっている。→世論

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国際世論」の意味・わかりやすい解説

国際世論
こくさいせろん
international public opinion

国際社会のなかで国際的影響力をもつ意見。国際世論は,第1次世界大戦後,そして特に第2次世界大戦後,国際政治の重要な要素とみなされるようになり,平和運動,反戦運動といった形で,積極的,組織的に形成する努力がなされている。 1965年以降のベトナム戦争へのアメリカの介入,56年のハンガリー,68年のチェコスロバキアへのソ連の武力干渉に反対する国際世論の高まりは,直接的な抑制効果はもたなかったが,当事国に与えた影響は決して少くない。 70年代以降,非政府組織 NGOの果す役割が高まるにつれ,NGOが形成する国際世論が国々の政策決定に微妙な影響を及ぼす機会が急速にふえている。反核平和運動,環境保護運動,人権擁護運動などはその端的な例である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android