国際がん研究機関(読み)こくさいがんけんきゅうきかん(英語表記)International Agency for Research on Cancer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際がん研究機関」の意味・わかりやすい解説

国際がん研究機関
こくさいがんけんきゅうきかん
International Agency for Research on Cancer

がんの発生メカニズムの解明発がん物質究明、疫学的統計に基づくがんの地域特性、エビデンスに基づく予防法などを研究する世界保健機関WHO)の外部機関。IARCと略称される。かつてのフランスの大統領ドゴールが、各国の軍事費を1%削減し、これによって生じた財源により、とくに先進諸国に蔓延(まんえん)するがんの撲滅に向けた研究を推進しようと提唱し、1965年のWHO総会で、旧西ドイツ、イギリス、イタリアおよびアメリカの賛同を得て、独立採算の機関としてリヨンに設立されることが決まった。その後、ほかの欧米の国々やオセアニアおよびアジアからの参加も増え、日本も参加している。

 IARCでは、がんに関する調査や研究活動の成果をまとめた「世界がん報告」や、化学物質や混合物および環境がもたらすヒトへの発がん性リスクについて評価・分類した「発がん性リスクの一覧(IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans)」を公表している。発がん性リスクの一覧では、疫学調査実験動物などから得られたエビデンスに基づき、ヒトへの発がん性をグループ1(発がん性がある)からグループ4(発がん性はおそらくない)まで5段階(グループ2が2Aと2Bに分けられている)に分類して評価している。

[編集部 2017年8月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android