国連通常兵器登録制度(読み)こくれんつうじょうへいきとうろくせいど(英語表記)United Nations Register of Conventional Arms

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国連通常兵器登録制度」の意味・わかりやすい解説

国連通常兵器登録制度
こくれんつうじょうへいきとうろくせいど
United Nations Register of Conventional Arms

通常兵器の移転 (輸出入) を国際的監視下におき,軍備の公開性,透明性を高め,兵器取引の抑制をはかることを目的とする国連制度。国連軍備登録制度ともいう。湾岸危機一因イラクに対する過度の兵器供給にあったとの教訓から,日本がヨーロッパ共同体 EC諸国などとともに提案した「軍備の透明性」決議に基づくもので,同決議は 1992年 12月に国連総会で採択された。加盟国は毎年1回輸出入の相手国,数量を国連に登録 (報告) し,国連事務総長はこれらをまとめて総会に報告する。対象となる兵器は戦車,装甲戦闘車両,大口径砲または多連装ロケット・システム,戦闘用航空機,攻撃用ヘリコプタ,軍艦ミサイルまたはミサイル・システムの7種類の通常兵器である。この制度は 93年1月1日から発足した。総会決議は安全保障理事会決議と異なり強制力をもたないことから,この制度がいかに効果的に実施されるかが注目されている。

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知恵蔵 「国連通常兵器登録制度」の解説

国連通常兵器登録制度

戦車、装甲戦闘車両、大口径火砲、戦闘用航空機、攻撃ヘリ、軍艦、ミサイルの7種の通常兵器の輸出入の数と相手国を、年1回国連に登録する制度。1991年日本と欧州共同体(EC)の共同提案による国連総会決議を受け、92年創設。武器輸出入及び軍備の透明化が目的。少なくとも160カ国以上が、1回は登録している。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

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