国連パレスチナ難民救済事業機関(読み)コクレンパレスチナナンミンキュウサイジギョウキカン(英語表記)UNRWA

翻訳|UNRWA

デジタル大辞泉 の解説

こくれん‐パレスチナなんみんきゅうさいじぎょうきかん〔‐ナンミンキウサイジゲフキクワン〕【国連パレスチナ難民救済事業機関】

ユー‐エヌ‐アール‐ダブリュー‐エー(UNRWA)

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知恵蔵 の解説

国連パレスチナ難民救済事業機関

パレスチナ難民の保護・救済を目的に設置されている国連機関。1949年に設立され、パレスチナ自治区(ヨルダン川西岸地区ガザ地区)ほか、レバノンシリアヨルダンの計58の難民キャンプで活動を行っている。本部ガザアンマン(ヨルダン)、エルサレムの3カ所に置かれ、職員・現地スタッフは3万人を超える。支援は、パレスチナ難民約500万人を対象に、教育・医療・保健衛生・福祉・食糧支援・インフラ整備と多岐にわたる。このうち年間予算の6割近くが教育支援に充てられており、直接運営する小・中学校は約700校、児童・生徒数は計50万人に及ぶ(2018年時点)。日本の国際協力機構(JICA)も現地の諸機関と連携し、教師派遣等で協力している。なお、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はパレスチナ難民を救済対象に入れていない。
UNRWAの活動資金の大半は、加盟国からの任意の拠出金と寄付に依存しており、国連の通常予算の割り当ては2.5%に過ぎない。総額の約3分の1をアメリカ合衆国が担ってきたが、イスラエルに肩入れする米トランプ政権は18年1月、拠出金の約半額を無期限で凍結すると発表。更に同年8月には、拠出の完全停止と在ワシントン「パレスチナ代表部」の閉鎖も発表した。理由として、UNRWAの運営に「修復不可能な欠陥」があること、パレスチナ自治政府がアメリカの仲介による中東和平交渉に応じないことなどを挙げている。これに対して翌9月、ドイツクウェート、日本、EUなど35の国・機関が支援会合を開催。「最も深刻な財政危機」(クレヘンビュールUNRWA事務局長)を回避するため、新たに計1億1800万ドルを拠出することを決めた。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

国連パレスチナ難民救済事業機関
こくれんパレスチナなんみんきゅうさいじぎょうきかん
United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees; UNRWA

1948年のイスラエル独立に始る第1次中東戦争の結果生れたアラブ難民の救済活動を行う国連総会の下部機関。 49年に事務局をベイルートに設置し,発足した。レバノン,シリア,ヨルダン川西岸とガザ地区のイスラエル占領地域における居住地を失ったパレスチナ人がそのおもな対象で,食糧配給などの救済活動,保健・教育・職業訓練などを行なっている (教育活動が全体の 60%以上) 。世界保健機関,ユネスコなどとも協力する。本部はガザおよびアンマン (96年7月ウィーンから移転) 。

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