日本大百科全書(ニッポニカ) 「国語に関する世論調査」の意味・わかりやすい解説
国語に関する世論調査
こくごにかんするよろんちょうさ
日本人の国語に関する意識や理解の現状を調べる世論調査。文化庁が1995年度(平成7)から毎年行っている。日本人のことばの使い方や理解の現状について調査し、国語施策の参考にすることを目的とする。調査は全国から無作為に選び出した16歳以上の男女約3000~3500人を対象に、調査担当者が自宅を訪問し、個別に面接をするかたちで行われる。毎回2000人以上の有効回答者を得ている。
調査が開始されたのは、戦後の国語施策(現代仮名遣いや外来語の表記への対応など)がほぼ完了した時期であった。当時の国語審議会が、それまでの表記に関する施策以外に幅広く国語の課題を検討するため、国民の意識やことばの実情に関するデータの収集が必要であるという提案を行い、文化庁が調査を開始した。2001年度(平成13)からは、国語審議会を引き継いだ文化審議会国語分科会の示す方向性に沿って調査内容が決定されている。調査結果は、2007年度の「敬語の指針」、2010年度の「改定常用漢字表」など、さまざまな審議の際に参考データとして使用されている。
また、調査結果はマスコミの報道を通じて、社会的にも大きな話題をよぶことがある。近年は、「ら抜き」「さ入れ」表現が浸透したこと(2007年度)、電子メールの定着によって「漢字を正確に書く力が衰えた」とする回答が7割近くになったこと(2011年度)などが注目された。2012年度調査の結果では、「きんきんに冷えた(ビール)」「うるうるとした(瞳)」「ざっくりとした(説明)」などといった新しい表現が定着していることが話題になった。2014年度調査には「新しい複合語、省略語について」の項目があり、「婚活」「デパ地下」「クールビズ」を聞いたことがあるという回答が9割を超えた。また、使うことがある割合は、「デパ地下」がもっとも高く5割近かった。2017年度調査では外来語についての意識に関する問いがあり、「外来語やカタカナ語の意味が分からずに困ることがあるか」に対しては8割以上が「ある(よくある、たまにはあるの合計)」と回答した。
[編集部]