国分(読み)コクブ

デジタル大辞泉 「国分」の意味・読み・例文・類語

こくぶ【国分/国府】

(国分)鹿児島県中部、鹿児島湾北岸にあった市。大隅国国分寺跡がある。平成17年(2005)11月、周辺6町と合併して霧島市となった。→霧島
国分タバコ」の略。

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日本歴史地名大系 「国分」の解説

国分
こくぶ

仙台市したにあった陸奥国分寺およびその東の陸奥国分尼寺に由来すると思われる地名で、文治五年(一一八九)の奥州合戦では平泉藤原氏が国分原(宮城野)に陣容を構えて、源頼朝軍を迎えている(「吾妻鏡」同年八月七日条)。以降、国分・国分寺郷・国分庄などとみえ、その地域は確定できないが、近世期に至るまで重要な地名として伝えられた。観応年間(一三五〇―五二)の宗久の紀行「都のつと」には宮城野みやぎのを詠み、「この所はむかし人すみけるを、今はさながらのらやまになりて、草堂一宇より外はみえす」とある。これより先奥州合戦の論功行賞により、千葉常胤の五男国分胤通は宮城郡国分を与えられたとされる。平姓国分系図(「宮城県史」所収)では国分氏は国分庄を領したという。文和二年(一三五三)八月二九日の奥州管領府奉行人奉書(白川文書)によれば、国分淡路守は南目みなみのめ村をめぐる所領争論で石川兼光の現地支配が円滑に行われるよう命じられている。

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改訂新版 世界大百科事典 「国分」の意味・わかりやすい解説

国分 (くにわけ)

日本中世末の戦国大名間に結ばれた領土協定,また豊臣政権のもとで行われた大名領知の画定や知行割の呼称。戦国の争乱は,〈国郡境目相論〉といわれたように,戦国大名間の領土紛争という性格をもっていたから,領土を接し抗争しあう戦国大名が軍事同盟を目的として合従(がつしよう)連衡を行うさい,領土協定は〈国分之無事〉〈国切之約諾〉などと呼ばれ,いわゆる政略結婚や養子縁組とならんで,講和成立の不可欠の条件とされた。16世紀後半の東国で,後北条・上杉・武田・今川・徳川・織田の6大名間にあいついで個別に結ばれた軍事同盟は,縁組を交わさない場合も国分を必ず伴っていることからみて,国分は同盟成立の必要条件であり縁組は十分条件であった。国分の協定内容は,国または郡を単位として,大名領国とその境界を相互に確認しあうもので,領域の画定に当たっては本主権や当知行(とうちぎよう)権が準拠とされ,縁組による相続の形で割譲されることもあった。領土割譲のさい,その領域の家臣までも引き渡されるのがつねであった。戦国大名間の同盟は多くは短期間で解体されるが,国分や縁組がすぐに同時に破棄されることはなく,永続性をもったと推定される。こうして国分は各戦国大名の領国の領有権を公に保障しあう役割を果たし,多角的な合従連衡の展開を通じて,しだいに各大名領国の画定が進められていった。ただ戦国大名間の国分は〈手柄次第〉を原則とし,領域確保は当事者の実力にゆだねられるならわしであったため,しばしば協定を不完全にする原因となった。

 豊臣政権の全国統一策は戦国大名の交戦権を否定し,戦争原因たる領土紛争は豊臣の領土裁判権つまり国分によって平和的に解決することを基本とした。その国分裁定は戦国大名間の国分を通じて成立した領有関係を前提とし,係争地については三分・折半・本領安堵などの基準で領域の画定を行い,軍事力の集中を背景とした豊臣権力による職権的な強制執行によって国分を行い,大名領の豊臣知行制への編成を推し進めた。
惣無事令
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国分 (こくぶ)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国分」の意味・わかりやすい解説

国分
こくぶ

鹿児島県北東部,霧島市中南部の旧市域。鹿児島湾最奥部にある。 1954年国分町と東襲山村,東国分村,敷根村の3村および清水村のほぼ全域が合体,1955年市制。 2005年溝辺町,横川町,牧園町,霧島町,隼人町,福山町の6町と合体して霧島市となった。中心市街地の国分には奈良時代中期に大隅国の国分寺が建てられ,のち国府も設置。慶長9 (1604) 年島津義久が築城。当時の京都風町づくりが現存する。江戸時代は薩摩藩集落の一つ。製材,木工,焼酎などの在来工業に加えて紡績,縫製,建材などの工場が立地している。台地は畑作地に,天降川 (あもりがわ) と検校川の複合デルタの沖積地は水田となっている。主産業は農業で,米のほか古くからのタバコ栽培は有名。国分たばこは 17世紀の初めにシャム (タイ) から種子を輸入し,耕作を始めたと伝えられ,そののち奄美の砂糖とともに薩摩藩の財政を支えたことで知られる。トマト,キュウリ,ナスなどの育苗や園芸農業,肉牛,ブタなどの飼育が盛ん。国指定史跡の大隅国分寺跡がある。

国分
こくぶ

大阪府柏原市南部の地区。大和川大阪平野に流出する谷口左岸に位置。古代大和への水陸交通の要地をなし,国指定史跡の松岳山古墳(まつおかやまこふん),河岸段丘上には国分寺跡,国分尼寺跡があり,地名もこれに由来する。国宝で日本最古の墓誌とされる,百済渡来人,船王後(ふねのおうご)の墓誌の発見地として知られる。宅地開発が著しい。山麓一帯はブドウの産地。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「国分」の解説

国分

正式社名「国分株式会社」。英文社名「KOKUBU CO., LTD.」。卸売業。正徳2年(1712)「大國屋」創業。大正4年(1915)「合名会社國分商店」設立。昭和25年(1950)株式会社化。同46年(1971)現在の社名に変更。本社は東京都中央区日本橋。食品商社。酒類・食品卸の最大手。全国に販売網を展開。「K&K」ブランドで自社製品を販売。

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