固体電解質(読み)コタイデンカイシツ

デジタル大辞泉 「固体電解質」の意味・読み・例文・類語

こたい‐でんかいしつ【固体電解質】

固体状態のまま、外部から電場をかけることで容易にイオンを移動させることができる物質のこと。酸化物を添加した安定化ジルコニアなどが知られ、燃料電池酸素検出器などに利用される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「固体電解質」の意味・わかりやすい解説

固体電解質
こたいでんかいしつ
solid electrolyte

溶液にしなくても固体のままで高いイオン伝導性を示す電解質。固体中でもイオンの拡散速度が大きく,そのイオンが電荷を運ぶため伝導性(→電気伝導)が現れる。典型的な例としては安定化ジルコニアがあげられる。安定化ジルコニアは,ジルコニア(二酸化ジルコニウム ZrO2)に酸化マグネシウム MgO,酸化カルシウム CaO,あるいは希土類酸化物(→希土類元素)を数%添加したもので,内部で酸素イオンが移動する。電気伝導率が高く,高温でも安定なため,発熱体や酸素センサ,燃料電池などとして利用される。

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化学辞典 第2版 「固体電解質」の解説

固体電解質
コタイデンカイシツ
solid electrolyte

融点より低温で高いイオン伝導性を示す固体.固体の電気伝導は,一般に電子や正孔によってなされるが,イオン性結合を含むある種の固体は,固体を構成するイオン自身が動くことでも電気を運ぶ.これらのイオンによる電気伝導率を有する固体のうち,全導電率に占めるイオン伝導率の割合が99% 以上のものを固体電解質という.代表的な固体電解質として超イオン伝導体ともよばれるα-AgI,Na-β-Al2O3安定化ジルコニアがある.イオン伝導性物質の各電荷担体による部分伝導率は温度,雰囲気などに依存するため,固体電解質とみなせる温度,雰囲気に注意する必要がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

知恵蔵 「固体電解質」の解説

固体電解質

水に塩類を溶解させると、塩はイオンに電離し、イオンが動けるので溶液は導電性になる。これを電解質と称する。セラミックスなどイオン結合性の固体では、特に高温の場合、イオンが電場の作用により動けるようになる。そこで不純物格子欠陥を持ち込んでイオンを動きやすくしたものを固体電解質という。安定化ジルコニアは酸素イオンが動くもので、酸素センサーとして広く使われ、燃料電池用材料としても有望である。

(徳田昌則 東北大学名誉教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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