図南(読み)となん

精選版 日本国語大辞典 「図南」の意味・読み・例文・類語

と‐なん【図南】

〘名〙 (「荘子‐逍遙遊」の「有鳥焉、其名為鵬、背若泰山、翼若垂天之雲、搏扶揺羊角、而上者九万里、絶雲気、負青天、然後図南、且南冥也」による。鵬(おおとり)南方に向かって翼を広げようとする意から) 大志をいだき大事業をしようと試みること。
黄葉夕陽邨舎詩後編(1823)八・頼子成連恵伊丹酒前此見示西遊草賦此併謝「去歳図南窮、示我錦嚢充帰遺」 〔謝霊運‐撰征賦〕

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デジタル大辞泉 「図南」の意味・読み・例文・類語

と‐なん【図南】

《「荘子」逍遥遊より。想像上の巨鳥、ほうが遥か南方に向かって飛び立とうとする意から》南に発展しようとすること。大事業を計画すること。

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普及版 字通 「図南」の読み・字形・画数・意味

【図南】となん

大事業を計画する。〔荘子、逍遥遊〕鳥り、其の名をと爲す。背は泰山の(ごと)く、は垂天の雲のし。扶搖(ふえう)()を搏(う)ち、羊角して上ること九里、雲氣をし、天をひ、然る後南することを圖り、且(まさ)に南冥に(ゆ)かんとす。

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故事成語を知る辞典 「図南」の解説

図南

大きな事業を企てることのたとえ。

[使用例] この城郭もよいが、様式のすべてがふるい。〈略〉信長公の図南西覇の基点として、秀吉がその前駆をうけたまわるところのもの。もそっと、雄大たらねばならん[吉川英治新書太閤記|1939~45]

[由来] 「荘子しょうようゆう」に見える作り話から。北の海に住んでいるという「おおとり」は、体長が何百キロあるかわからないという、伝説上の巨大な鳥。その鳥は、何千キロもの高さまで飛び上がって、「南せんと図り(はるか南に行こうとして)」、何か月もかけて飛んで行くのだとか。ここから、「図南」で、とてつもない大きなことをしようと考えることを表すようになりました。

[解説] 「荘子」のこの部分からは、「大鵬の志という故事成語も生まれています。

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