回転平衡形(読み)かいてんへいこうけい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「回転平衡形」の意味・わかりやすい解説

回転平衡形
かいてんへいこうけい

非常に多量の流体液体気体)が全体として回転運動をしながら、それ自体の引力によってまとまっている場合、流体全体は、その質量、回転角速度などの条件に従って決まった形状をとる。その形を回転平衡形という。恒星惑星などの形は一般に回転平衡形に近いと考えられている。回転平衡形の具体的な形については、ニュートンに始まる数多くの研究があるが、そのすべてが完全にわかっているわけではない。いままでの研究から、その形は、たとえば楕円(だえん)体形、西洋ナシ形、ドーナツ形、三角おにぎり形、座ぶとん形、アンモナイト形、ハンバーガー形、二重リング形、ダンベル形など、さまざまなタイプに分類できることがわかっている。このなかで、球を回転軸方向に押しつぶした形の回転楕円体はもっとも安定であるが、その他多くの形は非常に不安定で、現実の天体の形としては存在しないと思われる。どの形であっても、回転角速度が大きくなりすぎると流体は分裂をして、平衡形状を保つことはできなくなる。

[長沢 工]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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