精選版 日本国語大辞典 「回向・廻向」の意味・読み・例文・類語
え‐こう ヱカウ【回向・廻向】
〘名〙 仏語。
① (「回」はめぐらす、「向」はさし向けること) 自分の行なった善根功徳をめぐらし、自分や他のもののさとりにさし向けること。このうち、積んだ善根功徳を、自己のさとりにさし向けることを菩提回向、他のものの利益にさし向けることを衆生回向といい、回向そのものにとらわれないで、そこに平等真実の理をさとることを実際回向という(三種回向)。また、特に浄土往生に資することを往相(おうそう)回向、再びこの世に帰ってきて、他を教え導き、浄土に向かわせることを還相(げんそう)回向という(二種回向)。
※南天竺波羅門僧正碑并序‐神護景雲四年(770)四月二一日「大法申レ斯紹隆、群生以レ之回向」
② 他に向いていた心を浄土の教えに向けること。回心(えしん)。〔具三心義‐上〕
※百座法談(1110)六月一九日「また阿彌陀経三巻を三ところの聖霊の御ために廻向し申させたまふ」
※枕(10C終)二七九「たふときこと、九条の錫杖。念仏のゑかう」
※源平盛衰記(14C前)一「ある時は御劔御衣、ある時は沙金錦絹を、徳長寿院へ廻向(エカウ)し奉るべしとて下し賜ひけり」
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