四分一(読み)しぶいち

精選版 日本国語大辞典 「四分一」の意味・読み・例文・類語

しぶ‐いち【四分一】

〘名〙
① ある一つにまとまったものを四つに分けたうちの一つ。四分の一。四半分。また、全体に対してわずかであることにもいう。
※本朝麗藻(1010か)下「感四分一之詔一首 源為憲」
咄本・按古於当世(1807)六「されば赤銅といふは、金が四分一はいる」
② 銅三と銀一をまぜた日本固有の合金暗褐色で美しい特殊の光沢を有するので、装飾用とする。朧銀(おぼろぎん)。白四分一。
洒落本・浪花色八卦(1757)花菱卦「かしらは四ぶ一のかんざし水牛の角く櫛」
建築で、室内の入隅(いりずみ)などに取り付ける細い木。〔日本建築辞彙(1906)〕
※狂歌・才蔵集(1787)一一「寄壁恋 くどけどもなどあふ事のあさき壁心のたけを四分一もきけ」
※駿河天野文書‐天正一七年(1589)七月七日・徳川氏印判状「一 四分壱者、百貫文に弐人充、可出之事」

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デジタル大辞泉 「四分一」の意味・読み・例文・類語

しぶ‐いち【四分一】

一つのものを四つに割った一つ。4分の1。四半分。
建築で、壁面の入り隅などに取り付ける細長い木。
銅3、銀1の割合で作った日本固有の合金。装飾用。朧銀おぼろぎん

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百科事典マイペディア 「四分一」の意味・わかりやすい解説

四分一【しぶいち】

日本古来の合金の一つ。元来は銅3,銀1の組成であったが,現代のものは銀の割合が低くなっている。美しい銀灰色を示すことから朧(おぼろ)銀とも呼ばれ,美術工芸品・装飾品などに使用。金を用いた金四分一,赤銅を用いた黒四分一等もある。

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世界大百科事典(旧版)内の四分一の言及

【金属工芸】より

…黄色を呈しているところから黄銅とも呼ばれて珍重され,やがて日本でも作られるようになった。このほか,日本独特の色金(いろがね)として,黒紫色を呈する赤銅(しやくどう)(銅にわずかに金を加えたもの),紫色を呈する紫金銅(しきんどう)(赤銅より多めに金を加えたもの),黒味銅(くろみどう)(銅に白目(しろめ)を加えたもの),銀灰色を呈する朧銀(ろうぎん)(銅3に対し銀1で四分一(しぶいち)ともいい,少量の金を加える場合もある),青金(あおきん)(金に銀を加えたもの)などがある。銅および銅合金は緑青(ろくしよう)と呼ばれる青緑銹が生ずるので,防銹と美観をかねて表面に金鍍金(ときん)を施し,金銅(こんどう)製品とすることが多い。…

【装剣金具】より

…特に格式を重視した後藤家の作が形式化する一方,町彫工は自由な立場で製作したため,題材や技法にも斬新さが認められ,技術的にもその発達はめざましいものがあった。材質は金,銀,銅,鉄のほか,四分一(しぶいち)(朧銀(ろうぎん)。銅3,銀1の合金),素銅(すあか)といった多種の金属を併用し,従前の高肉彫や象嵌のほか,肉合彫(ししあいぼり),片切彫(かたきりぼり)といった新技法が工夫されたのもその一例である。…

※「四分一」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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