囃子事(読み)はやしごと

精選版 日本国語大辞典 「囃子事」の意味・読み・例文・類語

はやし‐ごと【囃子事】

〘名〙
能楽で、謡なしの器楽だけで演奏する部分。主として役者の登退場伴奏舞台での動きの伴奏との二種がある。
② うたを歌ったり鳴物を鳴らしたりして興を添えるわざ。ふしをつけておもしろく言いたてること。はやし。はやしもの。
咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)下「たひらりんかひらりんか、一八十にぼくぼく、ひゃうりやひゃうりやとはやし事をして、やがて尋ねあふた」

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デジタル大辞泉 「囃子事」の意味・読み・例文・類語

はやし‐ごと【×囃子事】

能・狂言で、謡なしに器楽だけで演奏する部分。立ち方登場・退場に用いる出入り事(次第一声いっせいなど)と、舞台における動きに伴う舞事働き事などがある。

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世界大百科事典(旧版)内の囃子事の言及

【楽】より

…日本では,外来の音楽,あるいは雅楽の意味で用いられた。能・狂言の囃子事や歌舞伎の下座(げざ)音楽で用いられる場合は,下記のように唐楽を模した音楽を意味する。 (1)能の囃子事。…

【能】より

…概観すれば,〈句→節→小段→段→場→能一番〉という構造になるが,このうちもっとも重要な構造単位が小段(しようだん)である。小段には,謡が中心となる謡事(うたいごと)の小段と,囃子のみで演奏される囃子事の小段がある。その種類の数は,どこまで細かく分類するかで変わってくるが,おおまかにとらえると,謡事,囃子事それぞれに約50種が見られる。…

【囃子】より

… 囃子の奏法には,明確なリズムにのって奏する〈合ワセル奏法〉(合ワセ吹キ,合ワセ打チ)と,リズム感を際立たせずに一定の範囲で自由に奏する〈アシライノ奏法〉(アシライ吹キ,アシライ打チ)とがある。笛の合ワセ吹キは囃子事だけに用いられる奏法で,並拍子,渡り拍子,混合拍子の三つのリズム型がある。並拍子は毎句第2拍ないし2拍半から吹き出すのを基準とするリズム型で,ほとんどの囃子事に用いられる。…

※「囃子事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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