嚢腫(読み)のうしゅ

精選版 日本国語大辞典 「嚢腫」の意味・読み・例文・類語

のう‐しゅ ナウ‥【嚢腫】

〘名〙 卵巣肝臓腎臓乳腺などにできる腺腫の一型。分泌腺の管が拡張し、内面腺細胞の増殖したものでおおわれ、腺から分泌された種々の液体成分を満たす。

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デジタル大辞泉 「嚢腫」の意味・読み・例文・類語

のう‐しゅ〔ナウ‐〕【×嚢腫】

良性腫瘍しゅよう一種腺組織腫瘍のため、腺管の出口がふさがれて袋のようになり、中に多量の液体がたまったもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「嚢腫」の意味・わかりやすい解説

嚢腫
のうしゅ

腫瘍(しゅよう)は病理学的に、良性上皮性腫瘍、良性非上皮性腫瘍、悪性上皮性腫瘍、悪性非上皮性腫瘍に分類されており、悪性上皮性腫瘍は癌(がん)(癌腫)を、悪性非上皮性腫瘍は肉腫を意味している。良性上皮性腫瘍には通常、乳頭腫、腺(せん)腫、嚢腫が含まれているが、嚢腫は腺腫の亜型であって、分泌物の貯留(ちょりゅう)によって腺管が拡張してふくろ状になったものの総称である。嚢腫の内面を覆っている細胞は本来、腺腫の上皮細胞で、立方状、円柱状、線毛状などであるが、腔(くう)の拡大と貯留液の圧迫によって一般に扁平(へんぺい)化するが、逆に増殖、ことに乳頭状に増殖して認められることもある。嚢腫は、ふくろ状に拡大した腔の数によって単胞性嚢腫と多胞性嚢腫に、貯留している液の性状によって漿液(しょうえき)性嚢腫、類膠質(こうしつ)(コロイド)嚢腫、偽粘液嚢腫などに分類されている。嚢腫は卵巣にもっとも好発するもので、種々の大きさを呈し、ときには腹腔を充満するような巨大なものもある。

渡辺 裕]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「嚢腫」の意味・わかりやすい解説

嚢腫
のうしゅ
cystoma

嚢状腺腫あるいは嚢胞腺癌ともいう。排泄管のない腺管内に腺上皮から多量に分泌されたものがたまって,腺が拡大して嚢状となった腺腫あるいは腺癌の一種をいう。中隔によって分けられた多房性嚢腫と,単一の大きい単房性嚢腫がある。好発部位は卵巣で,その他腎臓,肝臓,乳腺などにも発生する。

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