日本大百科全書(ニッポニカ) 「嘉祥寺(京都市)」の意味・わかりやすい解説
嘉祥寺(京都市)
かじょうじ
京都市伏見(ふしみ)区深草(ふかくさ)坊町にある天台宗に属する寺。850年(嘉祥3)仁明(にんみょう)天皇の勅命により皇太子道康(みちやす)親王が創建し、その年号を寺号とした。851年(仁寿1)文徳(もんとく)天皇は堂宇を落成して空海の弟子真雅(しんが)を開山とした。文治(ぶんじ)年間(1185~90)兵火により炎焼し、1352年(正平7・文和1)再建された。歴代の法皇自らが当寺で追善作福(ついぜんさふく)したが、のち衰退廃絶した。瓦(かわら)町の善福寺にある礎石や庭石はその遺跡といわれる。現在の嘉祥寺は1662年(寛文2)空心(契冲(けいちゅう))が安楽行院の旧跡に再興したものという。
[大鹿実秋]