喜舎場朝賢(読み)きしゃば・ちょうけん

朝日日本歴史人物事典 「喜舎場朝賢」の解説

喜舎場朝賢

没年:大正5.4.14(1916)
生年:尚育6(1840)
幕末明治期の琉球国の士族。童名は次郎,唐名は向廷翼(向は尚を略したもので,読みは尚に同じ)。首里儀保村生まれ。国学で学ぶ一方,津波古政正から詩文を学び,その才能によって尚泰19(1866)年に尚泰冊封時の通事(通訳官),翌年には国王の側仕えとなり,同25年には,維新慶賀使節の一員として東京を訪れている。しかし,同32(1879)年の琉球処分という琉球王国の崩壊によって官職を失い,貧窮士族となって農村へ移住した。その後,久米島での開墾事業や吏員の弊政改革を主張するなどの社会活動をも行った。著作に『琉球見聞録』『東汀随筆』などがある。

(豊見山和行)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「喜舎場朝賢」の解説

喜舎場朝賢 きしゃば-ちょうけん

1840-1916 琉球の官吏
尚育王6年生まれ。最高学府国学にまなぶ。1868年から沖縄県設置にいたる12年間,最後の国王尚泰王の側近をつとめ,1872年には維新慶賀使に随行して上京。琉球処分を内部からみた著書「琉球見聞録」がある。大正5年4月14日死去。77歳。唐名は向(しょう)延翼。号は東汀。

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