善通寺(市)(読み)ぜんつうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「善通寺(市)」の意味・わかりやすい解説

善通寺(市)
ぜんつうじ

香川県西部にある内陸の市。1954年(昭和29)善通寺町と筆岡(ふでおか)、吉原(よしわら)、龍川(たつかわ)、与北(よぎた)の4村が合併して市制施行。1958年に象郷(ぞうごう)村の一部を編入した。市域の東部は讃岐(さぬき)平野が広がり、西部、南部は火上(ひあげ)山や大麻(おおさ)山など花崗(かこう)岩山地で占められる。北部を国道11号が走り、東部をJR土讃(どさん)線と国道319号が南北に通じるほか、高松自動車道の善通寺インターチェンジがある。この地で誕生した空海が父の佐伯善通(さえきよしみち)を弔うために建立した善通寺の門前町として発展し、市内には由緒ある寺院が多い。四国八十八か所の札所のうち、第72番から第76番までの曼荼羅(まんだら)寺、出釈迦(しゅっしゃか)寺、甲山(こうやま)寺、善通寺、金倉(こんぞう)寺の5寺が集まる。第二次世界大戦前は四国地方を管轄する第一一師団が置かれ、練兵場や兵営のある軍都として栄えた。戦後その広大な跡地に自衛隊のほか、四国学院大学、国立善通寺病院(現、四国こどもとおとなの医療センター)、国立農事試験場(現、農業・食品産業技術総合研究機構西日本農業研究センター)などの教育・研究施設がつくられ、市の一つの特色をつくっている。平野部では溜池灌漑(ためいけかんがい)による米麦作のほかに、野菜のビニルハウス栽培やミカン栽培、畜産が行われ、近年、化学製品、木工繊維缶詰の工場が進出している。商業ではスーパーマーケットや外食産業店舗の進出が目覚ましい。農耕儀礼の「木熊野(きくまの)神社の特殊神事」や、盆踊り一種「シカシカ踊」は県指定無形民俗文化財。面積は39.93平方キロメートル、人口3万1631(2020)。

[稲田道彦]

『『善通寺市史』全3巻(1977~1994・善通寺市)』


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