善峰寺(読み)ヨシミネデラ

デジタル大辞泉 「善峰寺」の意味・読み・例文・類語

よしみね‐でら【善峰寺】

京都市西京区にある天台宗の寺。山号は、西山。西国三十三所第20番札所。長元2年(1029)源算の開創。応仁の乱で焼失したが、江戸時代徳川綱吉の母桂昌院の援助で再興。

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精選版 日本国語大辞典 「善峰寺」の意味・読み・例文・類語

ぜんぶ‐じ【善峰寺】

京都市西京区大原野小塩町にある天台宗の寺、善峰寺(よしみねでら)の別称。西山御坊。ぜんぽうじ。よしみねさん。

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日本歴史地名大系 「善峰寺」の解説

善峰寺
よしみねでら

[現在地名]西京区大原野小塩町

大阪府との境、釈迦しやか岳北東山腹の標高約三一〇メートルの高所に位置し、東方に西岡にしのおか、北東に京都盆地を一望する。灰谷はいたにを通って当寺付近より善峰川が東流している。西山と号し、西国三十三所観音霊場の第二〇番札所にあたる。天台宗。本尊は千手観音

〈京都・山城寺院神社大事典〉

〔草創〕

天台僧源算が長元三年(一〇三〇)に伽藍を建立したのに始まるという(西山善峰寺略縁起・「元亨釈書」)。源算は因幡の人、異常な難産で生れ「不祥の子」として路傍に捨てられたが、三日を経ても無傷に育ったため、隣人が奇特として養育、成人して近江比叡山に上ったという。この間慧心に師事、後年西山の良峰よしみねに至り清修自適し、道場を建立しようとしたが山の斜面と岩石に妨げられた。ある夜の夢に異僧顕現して援助を告げた。果して次の夜、数千匹の猪の大群が岩をうがち土を負い、地をならして基壇を作ったと伝えられる(元亨釈書)。源算は承徳三年(一〇九九)の暮春、定印を結び端座して没した。

〔観音信仰〕

本尊の千手観音はこれより先の長久三年(一〇四二)三月、洛東の鷲尾わしのお(現京都市東山区)に安置されていたのを、後朱雀天皇の夢想により当山に移し、宝祚長久を祈らしめたという(西山善峰寺略縁起)。この観音像にも伝えがあり、昔、京都賀茂社の境内が田地であった頃、植えた苗が一夜にして槻の木と変じ、夜ごとに光明を放って千手の神呪を誦した。里人も斧斤を入れぬまま年月を経、こう(現京都市上京区)の行円が同寺の本尊をこの霊木から伐り出し、余材で安居院あぐい(現同区)の仏師仁弘が千手観音を刻み、鷲尾寺に安置したという(同略縁起)

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改訂新版 世界大百科事典 「善峰寺」の意味・わかりやすい解説

善峰寺 (よしみねでら)

京都市西京区大原野にある天台宗の寺。西山と号し,西国三十三所観音霊場の第20番札所。〈ぜんぶじ〉ともいう。1030年(長元3)源算上人の建立と伝え,本尊千手観音の霊験で名高い。鎌倉時代に慈円の弟子観性・証空が入寺して興隆につとめ,以降三鈷寺とともに浄土宗西山派の拠点にもなった。後嵯峨天皇の勅願所となり,中世には法親王の入寺が続いて〈西山宮〉とも称されている。応仁の乱の兵火で荒廃したが,江戸時代に徳川綱吉の生母桂昌院が寺領を寄せ,堂舎を再興。現諸堂はほとんどこのときの再建である。木の葉がくれに点在する諸堂の景観,山腹の寺地から見渡す京都盆地の景色はすばらしく,また境内には謡曲でなじみの〈西行桜〉,枝の長さが20m以上もあってさながら竜が地をはうような五葉の松〈遊竜松〉などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「善峰寺」の意味・わかりやすい解説

善峰寺
よしみねでら

京都市西京(にしきょう)区大原野小塩(おしお)町にある天台宗の寺。西山(にしやま)と号する。本尊は千手観音(せんじゅかんのん)。西国三十三所第20番札所。1029年(長元2)源算上人(げんさんしょうにん)の開基。以後、代々法親王が入山し、西山御坊(にしやまごぼう)と称された。初め良峰寺と書いたが、後鳥羽(ごとば)天皇が善峰寺と改め、官寺に列した。1213年(建保1)法然(ほうねん)(源空)の弟子証空(しょうくう)が住して浄土法門を広め、のちその一派を西山(せいざん)派という。応仁(おうにん)の乱に兵火にかかり焼けたが、豊臣(とよとみ)秀吉が復興し、徳川綱吉(つなよし)の母桂昌院(けいしょういん)が再興に努力した。多宝塔(国重要文化財)、経蔵、本堂、楼門、薬師堂など多くの堂塔が建ち並ぶ。境内にある桂昌院の手植えと伝える五葉松(遊龍(ゆりゅう)松という)は国の天然記念物。

[田村晃祐]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「善峰寺」の意味・わかりやすい解説

善峰寺
よしみねでら

京都市西京区大原野にある天台宗の寺。良峰寺とも書く。山号は西山。長元2 (1029) 年源算の創建。後一条天皇の勅願所となり,洛東鷲尾寺の本尊であった千手観音を移して奉じた。のちに善慧房証空が寺内の往生院に住して浄土宗西山派を鼓吹して以来,道覚,慈道,尊円などの法親王が入寺したので西山御所という。西国三十三所観音の第 20番札所。

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