商税(読み)しょうぜい(英語表記)shāng shuì

精選版 日本国語大辞典 「商税」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ぜい シャウ‥【商税】

〘名〙 商業に課する税。
公議所日誌‐三・明治二年(1869)三月「因て商税を取立、これに備ふべし」 〔夢渓筆談‐巻一二〕

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改訂新版 世界大百科事典 「商税」の意味・わかりやすい解説

商税 (しょうぜい)
shāng shuì

中国前近代の内地税。名称の起りは唐の780年(建中1),両税法が実施されたころにある。宋,元,明と拡充され,明の宣徳(1426-35)以後は鈔関税と称するようになる。清代は鈔関税とか常関税といい,咸豊(1851-61)以後は,窮乏財政を支援するため,新たに釐金(りきん)税が登場してくるが,内地税であることに変りはない。商税の導入以前でも関梁の税といって水陸の要所関所をおいて通過税をとることは随時行われていたものの,商業税の主役は各県城に公設された市で商人を登録させ,市籍租という商業税を徴することであり,関梁の税は邪道とされ反対も多かった。裏返せば重要な市場は県城に限られ,移動商人の勢力も限られ,たとえ目こぼしをしても財源にとり上げるほどには重要でなかった。

 唐代半ばから商業革命がはじまり,藩鎮が割拠して通過税を地方財源として横取りするようになると,唐政府は抜本改革をして両税法を行い,商業統制をゆるめた代りに,農民から徴する両税とセットにして移動商人の通過税(商税)を税体系に組み込んだ。当時農村部に市場地が多発したこと,県城の市の統制がゆるんだこと,交通が発達したこと,銭納主義の両税法の下で貨幣が富の入手手段に変じたこと,が促成因である。

 宋は商税の制度を整備し,過税と住税に分けた。過税は商税場・商税務という要所の徴収機関を通過する商人に課する通過税で,商品1000文相当につき20文,住税は卸売市場で貿易商や生産者の販売1000文につき30文を徴した。都会のほか,鎮(半都市)や村市にも税場がおかれて課され,1077年(熙寧10),691万8159貫の収入があり。税率からいうと当時の被課税国内商業は7億~14億に当たる。しかも商税のほかに商業税として都市の土地家屋所有税,契約税,ギルド税,富商への賦課,徭役の金銭納があった。こうして宋以後,商税は国の重要財源となり,ことに王朝が盛期を過ぎて土地税の掌握が困難になると商税に付随した付加税に頼るので,結局流通を阻み,不安を増した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「商税」の意味・わかりやすい解説

商税
しょうぜい
shang-shui

中国の物品税。狭義には客商 (生産地と市場を往復する行商人) を対象とする商品課税で,古くは関市の賦といったが,商業活動の発達した唐末以後国家財政に重要な地位を占めるようになった。宋では過税 (通過税) と住税 (入市税) に大別され,客商が運搬もしくは販売する商品を対象にそれぞれ価格の2%,3%を現金で徴収。その徴税官庁を税務といい,元,明では税課司局と呼んだ。全国の大小都市に網の目のように張られ,国内関税として経済の発展を阻害する一面もあった。明の鈔関税,清の釐金 (りきん) 税もその一種である。

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旺文社世界史事典 三訂版 「商税」の解説

商税
しょうぜい

中国の前近代の内地税
唐代半ば以降,商業が盛んになると商品の通過税の確保につとめた。宋代にはこの制度が整備され,重要な税源の1つとなった。都市で,店舗に課する住税と,商品が通過するときに徴収する過税とがあった。

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普及版 字通 「商税」の読み・字形・画数・意味

【商税】しようぜい

営業税。

字通「商」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の商税の言及

【商業】より

…この現象を中国の学界では〈資本主義の萌芽〉と認め,近代的生産関係の前身と評価することがある。なお,商業に課せられる税を商税といい,古くは関市の賦と称した。その起源は《周礼(しゆらい)》にさかのぼるが,広く行われたのは唐代以後であり,宋代には制度的にも確立して国家の一大財源となった。…

※「商税」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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