商業登記
しょうぎょうとうき
商法および会社法の規定に基づき、商業登記簿になす登記(商法8条以下、会社法907条以下)。商人や会社の営業(事業)に関する事項を公示することによって、取引の安全に資し、第三者の利益を保護し、あわせて商人や会社の社会的信用を維持することを目的とした制度である。その手続は、商業登記法(昭和38年法律125号、平成17年法律87号による改正)、商業登記規則などによる。法定の登記事項が生ずると、原則として当事者の申請により、法定の書面の方式にのっとって、管轄登記所で行われる。管轄登記所は、当事者の営業所を管轄する法務局、地方法務局またはこれらの支局・出張所である。商業登記簿には、商号登記簿、未成年者登記簿、後見人登記簿、支配人登記簿のほか、会社の種類に応じて株式・合名・合資・合同各会社登記簿、外国会社登記簿の九つがある。登記すべき事項は、登記の後でなければ、善意の第三者に対抗できないが、登記後は正当な事由によってそれを知らなかった者を除き、善意の第三者にも対抗できる(商法9条、会社法908条)。
[戸田修三]
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商業登記
しょうぎょうとうき
commercial registration
商法および会社法の規定によって登記すべき事項を,商業登記法,商業登記規則に定める手続きに従い,原則として当事者の申請により,その営業所の所在地を管轄する登記所に備えた商業登記簿(商業登記法6)に登記すること(商法8,会社法907)。なお,会社法は裁判によって生じる嘱託登記について規定している(937,938条)。商業登記の制度は,取り引き上重要な事項を一般に公示することによって,一般公衆の利益を保護するとともに,商人自身の利益や信用を保持するために認められた制度である。登記事項には,絶対的登記事項(支配人の選任,会社の設立など)と相対的登記事項(自然人たる商人の商号など)があり,いずれも法定されている。
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商業登記【しょうぎょうとうき】
商法の規定に基づき,商人の営業に関する一定の事項を商業登記簿に登記すること(商法8条以下)。登記事項は商号,支配人の選任・解任など。手続の細目は商業登記法(1963年)などによる。商業登記簿は公衆の閲覧に供される一方,登記した事項は登記所において公告し,公告後は善意の第三者にも対抗できるのが原則であるが,公告は1945年の戦時民事特別法の改正によって当分の間行わないこととされ,現在に至っている。現在は登記があった時点で公告があったものとみなされる。
→関連項目小商人|登記
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デジタル大辞泉
「商業登記」の意味・読み・例文・類語
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しょうぎょう‐とうき シャウゲフ‥【商業登記】
〘名〙 商人の営業に関する一定の事項を商業登記簿に登記すること。また、その登記。
※
時事新報‐明治二六年(1893)一二月七日「商業登記の猶予期限も本月限りの事なれば」
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しょうぎょうとうき【商業登記】
商人の営業上の一定の事項を,商業登記簿に記載することにより,一般公衆に対し取引上重要な事項を公示することを目的とする登記制度の一種。この公示制度は一般公衆および商人自身双方に役だつ。商人と取引する者にとっては,相手方たる商人についていちいち調査しなくても確実な情報をえることができ,不測の損害を回避できる。他方,商人にとって営業上の機密を害しない範囲で公示をすることは,自己の信用維持に有用であるばかりでなく,いったん公示した事項については,取引相手方は当然それを知りえたものとして取り扱われることになるからである。
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