商業使用人(読み)しょうぎょうしようにん

精選版 日本国語大辞典 「商業使用人」の意味・読み・例文・類語

しょうぎょう‐しようにん シャウゲフ‥【商業使用人】

〘名〙 雇用契約によって特定商人に従属し、営業業務に従事する者。商法支配人、番頭・手代、物品販売店舗使用人を定めている。
※商法(明治三二年)(1899)三五条「主人と商業使用人との間に生ずる雇傭関係に付き」

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デジタル大辞泉 「商業使用人」の意味・読み・例文・類語

しょうぎょう‐しようにん〔シヤウゲフ‐〕【商業使用人】

特定の商人に従属し、営業主を代理して対外的な営業取引に従事する者。営業所の業務について包括的な代理権を持つ支配人・支店長、担当業務に関する代理権を持つ部長課長・係長、販売店の店員など。

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改訂新版 世界大百科事典 「商業使用人」の意味・わかりやすい解説

商業使用人 (しょうぎょうしようにん)

商人に従属して,商人の営業を補助する者。日本の商法では,これらの者の営業上の代理権の側面についてのみ規定をおくにとどまり,商人と商業使用人の間の内部関係については民法労働法規整にゆだねている(商法45条参照)。商人に従属することという要件から,商人との間に雇傭契約の存する者のみが商法にいう商業使用人であるとするのが多数説であるが,本来の商業使用人に含まれるか否かはともかく,家族,友人など委任契約にもとづいて代理権が与えられている者についても商人に従属しているかぎり商法の商業使用人に関する規定の適用を認むべきことにはほぼ異論がない。商法の定める商業使用人の類型には,支配人(37条以下。現在の企業では店長,支店長など多様な名称が用いられている),番頭・手代その他営業に関するある種類または特定の事項の委任をうけた使用人(43条。部長,課長,係長,主任などが原則としてこれにあたる),物品販売店舗の使用人(44条)があり,それぞれ,支配人については営業に関する包括的代理権,番頭・手代等についてはある種類または特定の事項に関する代理権,物品販売店舗の使用人については当該店舗にある物品の販売についての代理権の存在が法律上擬制されている。商人がこれらの代理権に制限を加えたとしても,善意の第三者にはこの制限をもって対抗できないものとされている(38条3項等)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「商業使用人」の意味・わかりやすい解説

商業使用人
しょうぎょうしようにん

特定の商人や会社に従属して、その対外的な商業上の業務を補助する者。商人や会社が営業(事業)を行う場合、他人の労力や能力を補助的に利用する必要があるが、営業(事業)活動の補助者のなかには、その者が自ら独立の商人資格を有する代理商、仲立人、問屋(といや)などのほか、専属的かつ従属的な企業補助者である商業使用人があり、営業主や会社を代理して対外的な営業(事業)活動に従事する。

 商業使用人は対外的な商業上の業務を補助し、商人や会社を代理する者であるから、対外的な代理関係にたたない技師・職工、商人や会社に雇われている自動車の運転手はもとより、通信、簿記、金銭出納など、単に商的技術の面から補助するにすぎない者も商業使用人ではない。かくして商法は、対外的な企業代理の側面から、商業使用人として、支配人、部長や課長のような商人や会社の営業(事業)に関するある種類または特定の事項の委任を受けた使用人、および、物品の販売等を目的とする店舗の使用人の三つに区分し、それらが営業主のためにどの範囲の代理権を有するかを中心に規定している(商法20~26条、会社法10~15条)。

[戸田修三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「商業使用人」の意味・わかりやすい解説

商業使用人
しょうぎょうしようにん
Handlungsgehilfe; kaufmännisches Personal

特定の商人に従属して,その対外的な商業上の業務を代理して行なう者。商業使用人として支配人 (商法21,会社法11) ,営業に関するある種類または特定の事項の委任を受けた使用人 (今日の企業においては,部長,課長,係長など。商法25,会社法14) と物品の販売,賃貸その他これらに類する行為を目的とする店舗の使用人 (商法26,会社15) について規定している。

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百科事典マイペディア 「商業使用人」の意味・わかりやすい解説

商業使用人【しょうぎょうしようにん】

特定の商人(営業主)に従属し,その営業について営業主を代理するもの(商法20条以下/会社法10条以下)。支配人・番頭・手代等(現代の企業では支店長・部長・課長・係長・主任等に該当)は含まれるが,会社の機関たる取締役等,代理権のない技師等は含まれない。営業主との関係は雇用であり,民法・労働法が適用され,代理権の範囲は商法に規定される。

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世界大百科事典(旧版)内の商業使用人の言及

【国際商法】より

…いずれかの国の法律により適法に設けられた商号は,他国においても保護されるのが原則である(工業所有権の保護に関するパリ条約8条参照)。(c)商業使用人および代理商 商業使用人および代理商と本人との関係は,代理権授与行為の準拠法によるが,商業使用人および代理商が代理行為を行った地の法によるのが日本の多数説である。なお,〈代理の準拠法に関するハーグ条約〉(1978年,日本は未批准)は,本人と第三者との関係については,代理人の営業所所在地国法によるのを原則としている。…

※「商業使用人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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