唐船(中国船)(読み)とうせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「唐船(中国船)」の意味・わかりやすい解説

唐船(中国船)
とうせん

江戸時代、長崎に来航した中国船の通称。沙船(しゃせん)、鳥船(ちょうせん)の別がある。沙船は、船体の内部を水密隔壁で仕切った平底(ひらぞこ)の船。長さ30メートルほど。通常、大小3本の帆柱があり、船尾船首より高く、積量50トンほど。ポルトガル人がジャンクjuncoといった船である。鳥船は、船首から船尾にかけて竜骨を通し、竜骨に組み合わせて多数の肋(ろく)材を配列して船底をとがらせた船。長さ30~50メートルほど、3本の帆柱、船尾と船首の高さが平均し、積量100~450トンほど。ポルトガル人がソマsomaといった船である。1723年(享保8)清(しん)政府は船首の両わきを地域別に塗り分けることにした。すなわち、来航唐船のうち、南京(ナンキン)船(上海(シャンハイ)出航)は藍(あい)色、浙江(せっこう)船(乍浦(さくほ)出航)は白色、福建船(厦門(アモイ)出航)は緑色、広東(カントン)船(広州出航)は赤色に塗っていた。唐船を代表する商人を、初め船頭、のち船主といった。船主は行商ともよばれ、通常、荷主を代理して渡来する者である。船は通常、船戸とよばれる所有者から一航海を限って借り、乗組員は出港時に雇い入れ、給料のうちのいくらかを長崎で支払うことになっていた。

[山脇悌二郎]

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